いつまでもカブーの下に居るわけにもいかないので、移動することにした。
それを決めたのが隠れて翌日の事だった。
昨夜遅くソードとブレイドが陛下の就寝を確認して報告に来てくれた時ついでに伝えてあるから、フーム達とも合流できるはず。
日が昇るや否やという時間にユメをカブー下から連れ出した。

「でも……移動するといったって、何処に?」

「カービィの家なら、城から少し距離もあり、人もあまり来ない。
しばらく隠れるには、丁度いいだろう」

それに、長く居るにはここは冷える。
陛下が魔獣でも寄越さない限り安全ではあるが、怪我に触るかもしれない。
体を冷やすのも良くない。

「それに……カービィが居れば、魔獣が来ても対処が出来るだろう」

「……魔獣、って、どれだけいるんでしょう?」

「私にもわからない。ただ、ナイトメア社が作り上げ、売り出している。
種類は多岐にわたり……人々を恐れさせ、傷つける。
そんな魔獣に対抗する能力を持ったのが、カービィなのだ」

「可愛らしい見た目にそぐわず、すごい子だったんですね」

そんな会話をしているうちに通達された待ち合わせ場所に辿り着いた。といってもカブーから少し離れただけの場所であるのだが。

「メタナイト卿!ユメさん!」

「もう来ていたか。陛下はどうだ」

「まだ寝てたわ」

「しばらくは安心だ。行こうぜ」

「い、行くと言われましても……あの。一晩考えたのですが、デデデ大王を言いくるめることができるかもしれない、です」

言いくるめる?
皆がユメをいぶかしげに見た。どうやってやるつもり?とフームが代表して尋ねた。

「……ナイトメアにとって私は価値あるモノらしいですし。それを逆手に取ればいいでしょう。
言う事きかなければ私を引き渡す事はない……とかうまい事言って」

「一つの手札ということか」

「そんなものですね。逃げ回るよりよっぽど楽かと。足さえ治れば、どうにもできますから……時間稼ぎくらいには」

どう思います?
意見を求められている、のか。
フームはなんだか感心しているらしい。カービィはやはり理解しておらず、跳ね回っている。しまいにはユメの方に飛びついていった。
いや、今それはどうでもいい。

「デデデも馬鹿だし、うまくだませるんじゃないか?」

「そうねぇ……うまくやれば、できるかも」

「みなさんにはもう沢山助けてもらいました。これ以上は自分の力でやります」

「……そなたがそう言うなら、やってみるといい。
ただし、後ろについているぞ。また敵に回られるのは厳しい」

「……そうですね。私も恩人に危害を加えたくないです」

お願いします。
静かに頭を下げるユメからはまるで緊張が見られない。表面に出ていないだけなのか、よほど自信があるのか。定かではないが。
彼女ならうまくやるように思えた。









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