カービィやフームさん、ブン君と知り合ったその日の夜。
明日からまた考えようとなりお開きになった。
そのあと、事件は起きた。

「おい!!!ここには誰がいるぞい!!!!」

「大人しく投降するでゲス!!」

「ぃ!?」

ドンドンとすごい力でドアが叩かれる。
木製のドアはミシミシと音を立てていた。

どうしよう、と戸惑っている内に扉は破壊された。












「ねぇパパ、相談があるのだけれど」

「おや、どうしたんだいフーム。」

「あのね、」

『チャンネルーッDDD!!』

フームが食卓の場で今日の昼にあった出来事を話そうとした時だった。
突然テレビの電源が入り、速報とデカデカと表示された。
派手な音楽と共に番組がスタートする。

「……何よ、またデデデが何かしたの?」

一旦話を切って、フームはテレビに注目する。
少し経つとカメラが回り始め、この国の陛下の部下にあたる、エスカルゴンが画面いっぱいに映し出された。

『緊急ニュースでゲス!!
本日夕方、この城にてエイリアンが確保されたでゲス!!』

「なんですって!?」

フームは驚きで声を上げた。
そして、エイリアンと呼ばれる可能性のある人物など、思い当たるのは一人しかいない。
昼間に対面を果たした、ユメだけだ。

彼女じゃない事を祈りながら、テレビに見入る。

「姉ちゃん、これって……」

「待って、まだ確定したわけじゃないわ」

ブンの不安そうな声にフームは出来るだけ落ち着いて答える。
しかし、現実は厳しい物だった。

『そのエイリアンがこちら!!』

『……』

「な、なんてこと……!!」

映し出されたのは、柱に縛り付けられ俯くユメその人だった。
場所はデデデの部屋らしい。

「行こうぜ、姉ちゃん!」

「えぇ!!」

フームとブンは現場に急行した。












「エイリアンめ、城に潜伏して何を企んでいるでゲスか!!」

「……」

「えぇい、何か喋らんか!!」

「……」

「……もういいゾイ!!貴様なんぞ、この取り寄せた魔獣で切り刻んで……」

目の前で喋る大きい奴の声がどこか遠くに聞こえる。
ワドルディは元々この国の兵士だから、私の助けになってくれるとは考えにくいだろう。
走れたら、逃げれたのに。

せっかく助けて頂いたのに、此処までなのだろうか。

『少しお待ちを、陛下』

「ん?なんゾイ急に出てきて」

急に部屋が暗くなり、壁が割れてモニターが出てくる。
耳障りな機械音を立てながら、それは映像を映し出した。

『それ……あぁ、やはり。お久しぶりですね、地球人』

「……カスタマー」

モニターには、見覚えのある顔があった。
私にあの機械をしかけた張本人。
カスタマーサービスだった。
言ってやりたい事は沢山あるが、今は置いておこう。
この状況を打破することが先決である。

「ん?なんゾイ、知り合いかゾイ??」

『おや、陛下お忘れで?
先日お送りした魔獣ではないですか』

「お?あ、あー!!どーりで見たことあると!!
ほらあのカプセルにはいってた!」

「あ、あー!カービィに倒されたあの弱っちい奴!!」

『どうやら機械の調整が足りなかった様ですね。ソイツを舐めてました、まさか意思で洗脳を突破するとは。次は思考回路さえ潰して差し上げましょう』

嫌な記憶がまた蘇ってくる。
また、ああなるのは、嫌。

「……ふざけないで、私はあんたのとこの道具じゃない」

『何を。立派な商売道具ですよ。
さあ陛下、その者をデリバリーシステムの上に。
20億デデンで買取ります』

「20億……よし。来るゾイ!!」

「嫌です!!」

「せいっ!!!」

「どわあ!!」

縛られている縄ごと腕を掴まれたその直後、大きい方のやつの体が吹っ飛んだ。
何か、黄色いものが飛んできた気がする。

「ユメさん、大丈夫!?」

「あ、あなたたち……どうして、」

吹っ飛ばしてくれたのはフームさんだった。
可愛げな見た目と反して意外とアグレッシブなんだなと場違いにも思った。

「ちょっと待ってろよ……よし、切れた!」

ブン君が小さいナイフを取り出して私の後ろに回った。
すぐに縛られていた箇所が緩くなる。
多少赤い痕が残ったが、動きに支障は無さそうだ。

「ありがとうございます、助かりました!」

「いいって!それより、逃げようぜ」

「そうね……でもちょっと、分が悪いわ」

気づけばワドルディに囲まれていた。
まさに四面楚歌。

「さぁ、大人しく転送装置に乗るゾイ!!」

「あんまりよ!!ユメさんは普通の人よ!?それを、魔獣として洗脳するなんて!!
あまりにも非人道的だわ!!」

「血も涙もないな」

「その通りです、陛下」

低めの、よく通る声が鼓膜を振動させる。
声のした部屋の入口を見れば、メタナイトさんとソードさん、ブレイドさんが立っていた。
カツン、カツンと重厚なオーラを纏って部屋の中に入ってきたメタナイトさんは、一瞬でその場の空気を支配してしまった。

「陛下が魔獣として呼び寄せたユメは、カービィによって正気を取り戻している。
彼女は今や、至って普通の人であるのですぞ。
それを私は2週間ほど様子を見て確認しました。
陛下ともあろうお方が、一般人を売買なさるのですか?」

「うぬぬぬ……メタナイト!!貴様、ワシの部下じゃなかったのか!!」

「部下が止めなくては誰が止めるのです」

「ワシを止めようなぞ、許さんゾイ!!」

「……やれやれ、話が通じんな」










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