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「シズ、唇切れちゃってるよ」

「へ?……あ」

カカシ先生に指摘されぺろりと唇を舐めると血の味がした
ぴり、と痛みも来る

「本当だ」

「痛くない?」

「痛い」

最近乾燥してきたからだろうか
今触ったら唇かっさかさだ
これは切れるわ

「リップグロスでも塗ったらどうよ」

「えー」

「……何その嫌そうな顔」

「いや……あれ何か無駄に匂いする奴とかあるじゃないですか
無駄にベタベタするし」

ちょっと前、いのとサクラのガールズトークに付き合わされた時にリップの話になり、色付きだの匂い付きだの色々出されて塗らされた記憶もまだ新しい

もう塗らない、と決心したのもその時だ

「なら薬用の塗れば良いんじゃないの?
俺そういうの使ってるよ、安いし」

「マジっすか
先生はマスクしてるから大丈夫……って訳でも無いんですか」

「まぁね」

ということで、試してみる?
なんて言いながらポケットからリップを取り出した
……常備してんですか…………?

「見ててなかなか痛々しいし
とりあえず予防も兼ねて試しに塗ってみな」

「いや、遠慮したいです」

「遠慮せずに」

じり、と先生から目を離さない様に後退する
しかし、流石は上忍
一瞬で後を取られた

その能力、こんな所で使っていいのかあんた

「はいはい逃げなーいの」

「別に舐めとけば良くないですか!?」

「こっちの方が保湿効果高いって」

カカシ先生に顎を固定され、後ろには木があって
やべぇ、動けない

「はい、動かないでね……」

「っ、」

気づけば先生は開いている手にリップを持っていた
……どうやら自分に塗る気らしい
逃げようと屈むなどの抵抗もしたが、結局固定された

縦に時間をかけて塗られていく

「……(やっべ、なんかきまずい)」

ゴーグルの下で思わず目を瞑った
はやく終われ

そんな願いが聞き届けられたのか、カカシ先生の手が離れていった
恐る恐る目を開くと、いつも通り何を考えているのかよくわからない顔のカカシ先生の姿が

「おわったヨ
そんなびくびくしなくっても良いのに」

「だ、ってしますよ……」

「なーんでよ」

「…………モウイイデス……」

近すぎんだよ、とは言えなかった






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