不意にリヴァイの気配がソファに座る俺の後ろに来た。
さっき茶を淹れに行った……はず。戻ってきたのだろうか。
後ろを覗き見ようとしたら、リヴァイがこつこつと足音を立てて近づいてくる。そのまま、後ろに立った。

「……なに?」

不可解な行為に顔を上に、そのまま反らせて後ろを見れば、いつも通りのリヴァイが後ろにただ立っていた。
不審に思っていたその時、奴の腕が前……つまり俺に向かって差し出される。そのまま、両の手のひらが横から頭を掴んだ。

ますます不可解だ。

とりあえず、危険は感じない。
反らしたままでそろそろ痛くなってきた首を元に戻す。動きに伴いリヴァイの手も付いてくる。
それを気にすることなく、読書を再開した。……のだが。

手が、するりと動く。
降りて行って顎の下の柔らかな部分に触れたかと思ったら、こんどは髪を撫でるように上に手が移動していく。

……非常に不可解だ。
後ろから伸びてくる手の動きは視覚に入りづらい。よって、動きが予測しづらい。いちいち手の動きに驚かされるのはやや不本意である。

「……リヴァイ?」

呼びかけてみるが、返事も手の動きの変化も無い。
今度は耳をくにくにと揉んでいる。……なんのつもりだ。
すこしかさついた指が耳元で微かな音を立てるたびに、ぞわりとした何かが体を巡る。
耳の裏から首筋にかけてなぞられた時は体が飛び上がりそうだった。

「…………???」

いよいよ訳がわからない。
どうしたんだ、こいつは。変な気まぐれでも働いているのか。

するすると皮膚の表面をリヴァイの指がなぞっていく。
どうした、と呼びかける。

「……お前、頭小さいな」

「?……標準くらいだと思うが」

「…………」

後ろから伸びる指が頬を柔らかく押す。むにむにとやわくつままれたり、指先で揉まれたり。

「…………リヴァイ、気が散る」

「…………(やわこい)」

「…………リーヴァーイーー」

最後に顎先から骨をなぞり耳あたりまで持っていくと、満足いったのか手が離れていった。
まったく理解不能の不可解な時間が終わったらしい。

「なんだったんだ?」

「…………アニマルセラピー……といったところか」

「俺人間なんだけど」

リヴァイの口からセラピーという言葉が出たのもなかなか衝撃だったが、その前についた言葉の方には一応抗議しておきたかった。





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