旧調査兵団本部では、リヴァイ班の面々が緊急会議をしていた
議題は、レイについて


「………今日の…事務仕事の話しよ」

ペトラが静かに口を開く
しかし、表情はどこか緩んでいる

彼女は思い出しながら語った




「レイ分隊長、ペトラです」

「……ん」

小さく声が帰ってきたので静かに入室する
この返事の時はかなり忙しく、手が離せない状況に来る時が多い
少し乱雑に積まれた書類の山の向こう側に彼…いや、彼女は居た

「これ、兵長から
期限厳守とのことです」

「……ん、すまん」

置いといてくれるか、という声に従って書類の山に乗せる
青く綺麗な目が紙面上の文字を追っていた

「……あ、ペトラ」

「はい」

こいこい、と手招きされた
分隊長の横に立つと、そっと腕を掴まれた
それにドキドキしてしまう
だってこの人は隈こそあるものの、綺麗な人なのだ

「あ、あの……分隊長?」

くいっと腕を引っ張られ、分隊長の顔が近づく
ふに、と頬に何か触れた
唇だ

驚きのあまり固まっていると、分隊長が僅かに微笑んで(……のだと思う)

「ありがとう」

「あっ、い、いえ!
じゃあ私はこれで……っ!!」

顔から火が出そうな程熱い
だって、だって……!!
分隊長がっ……

これ以上酷い姿は晒せないと、やや急ぎ足で退室した


(………すっごく柔らかかった)

嬉しさと恥ずかしさから、にやついてしまう顔を抑えるのに、どれだけ必死になったことか




「って事があって……」

「………俺も、茶出したらされた…ちゅっ、て…」

「汚水の入ったバケツ運んだらされたぜ……すごく柔らかかった」

「資料運んだらされた……もう死んでも良いかも」

「皆さんしっかりしてください!
グンタさんまだ死んじゃダメですって!」

皆同様にレイからキスをされているらしい
いやでも、普段全くそういう事をしない人だから、された時の衝撃は強い

どうしてキスなんか
そう思ったが、されて嫌なことでもない
むしろ嬉しい
のだが

「私、心臓が持たないかも」

「そうだよな
めっちゃ緊張した」

「ふっ、情けねーなグンタ
キスの一回くらいで緊張するなってガッ!!」

「またかオルオ……ほら拭け」

また噛んだオルオはさておき
リヴァイ班の全員がされているのだ
何か理由があるのだろうか

「そういえば、エレンは?」

「えっと……されましたけど
確かに柔らかかったな……レイさんの唇」

「ちょっエレン言うな思い出しちまうだろ!」

「うわぁぁぁぁぁ恥ずかしい!けど嬉しい!!」

「おい騒がしいぞ」

「うわぁぁぁぁああ兵長っ!!?」

「………おい、」

あまりの騒がしさに立ち寄った兵士長、リヴァイも固まった
……何なんだ、こいつらは

そんな心の声が届いたのか否か
彼らの面持ちに緊張が走る

「………で?どうした」

「あの……レイ分隊長が」

「レイ?また何かやらかしたのか?」

「いえっそうじゃないです!」

削いでやるとでも言うような雰囲気に、エルドがあわてて弁解する
いや、確かにちょっとやらかしてるけど大丈夫なんです

訳がわからずやや首を傾げるリヴァイに、班員一同が訴えた

「レイさんがチューしてくるんです」

「は?酒でも入ってるのか?」

「いや、例えば書類持っていった時とか、お茶出した時とかに……そうよねエルド!」

「あぁ、はい
嬉しいんですけど心臓がもたないというか」

「………これまたどういった風の吹き回しだ」

リヴァイでさえ驚いている
珍しい事だったのかもしれない

「ちなみに兵長は?」

「されてないが」

「………何ででしょうか」

「少なくとも無差別にやっているわけでは無いのだろう
理由でもあるんじゃねぇか」

「何してんだ、皆して集まって」

「!」

そこにタイミングよくレイが来た
まずい、と一同は誤魔化すための策を練った
……いや、そもそも誤魔化す必要はあるのか?
なんて考えている間にレイが首を傾げている

「俺の名前が出ていただろう?
用があるんじゃないのか」

あぁ、そうだった
この人、地獄耳だった
腹を括ったペトラが代表して口を開いた

「………実は」

かくかくしかじかで



「………ん、迷惑だったろうか
済まなかったな」

「いえ、迷惑なんてことは無いんです!
ただちょっと驚いて」

「落ち着けペトラ」

「あっ、はい
……でも、どうして?」

「………あー…………それは……」

なんとも言い難そうである
珍しい
ここまで言い淀むのは

「……ハンジに聞いてくれ」

「えっ、ハンジ分隊長に?」

「…噂をすれば影、だな」

「え」

謎の言葉を残したレイは逃げる様にその場を去った
えっ、なんで?
そしてその直後、ハンジがひょっこり顔を出した

「皆お集まりじゃないか
どうしたんだい?」

「……ハンジ分隊長、レイさんに何を仕込んだんです?」

エルドが尋ねる
すこし考えた後、思い当たる事があったのか合点がいったかのように手を叩いた

「レイからちょっとした相談を受けてね
自分はほぼ表情が無いから、感謝の気持ちを伝えるには何がいいだろうってね
そんで、行動で表せばって言ってみたんだけど……で、どうだったの?」

「……ほっぺちゅーでした」

「なにそれ可愛い」

私もされたいなんて駄々をこねるハンジをリヴァイが蹴り飛ばす
煩くされたのが気に障ったのざろう

「ははーん、リヴァイも自分がされてないから嫉妬してんのかな?」

「んなわけあるか
あいつの考えている事は大体わかる」

「え、まじ?
だってレイって君より表情の変化無くね?」

「わかるが?」

「………エェー」





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