「エレン」

「エレン、久しぶりだね」

「えっ……ええっ!?」

二度見した。さらにもう一回見た。
なんでこんなところに。

エレン・イェーガーは困惑していた。本部のほうに居るはずの幼馴染、アルミンとミカサが目の前に居るのだから。
久しぶり、とか。いうべき言葉は沢山あるはずなのに、自分でも珍しいと思うが、驚きすぎて言葉が出てこない。

「どっ、どうしてここに……!?」

やっとひねり出したのがこの一言である。
隔離されている限りは会えないだろうと思っていただけ、衝撃が少し大きい。
俺の顔がそんなに面白かったのか、二人が同時に笑った。そして、ここに来るまでの経緯を説明してくれた。

「実は、レイ分隊長が取り合ってくれたんだ」

「えっ、……レイ分隊長が?」

「私がレイ分隊長に、エレンがどう過ごしているか聞こうとした。
そうしたら、百聞は一見に如かずだろう、って……団長にかけあって、ここに連れてきてくれた」

「だけど僕らにもエレンにも予定があるだろうから、一時間が限度だって」

そう話す二人の視線の先にはリヴァイ兵長に何か話しているレイ分隊長が居た。
きっとあれは兵長に事の成り行き云々を説明しているのだろう。

それにしても、レイ分隊長ってそんなことをしてくれる様な人だっただろうか。いつも隈を作っている事に無表情が拍車をかけてとても怖い人の様に見える訳だが。
そんなイメージは間違いだったのだろうか。そう思わなくもないが、きっと同期の奴らに聞けば俺と同じ意見を持つ人は多いだろう、と思う。
……いまは、せっかくの時間を有効に使うべきだろう。

少し混乱気味だったエレンは後で先輩たちに聞いてみる事にして、このことは一旦置いておく事にした。

















「わざわざ呼んでくるとは」

「ただでさえお前の威圧がすごいんだ。イェーガーも息抜きが必要だろうと思ってな」

適度な段差に腰かけて話をする彼らを遠巻きに見るレイを見上げて、こんなことをする奴だったろうかと思いかけて、こいつは意外と子供に甘いということを思い出した。
にしてもわざわざ面倒な事を。エルヴィンに話を通してまで。

「ついでにお前の様子を見たいと思ったのもある」

「俺の?なぜだ」

「なんとなくだ」

なんだか今日はよく喋る。
ふとガキ共を見ると、それぞれが楽しそうにしていた。少なくともレイの行為は無駄では無さそうだ。

「……茶でも飲んでくか?」

「できるなら頼みたい」

「なら行くぞ。また声をかけにこればいいだろ」

そうだな、とついてくるレイ。
また隈が濃くなった気がする。

「レイ、お前最近眠れているか」

「…………」

「その顔は寝れてねぇな」

人の心配する前に自分をどうにかしろと言いたい。
また倒れたら面倒だ。
それは重々承知なのか、レイはぼそりと善処すると返してきた。
善処出来て無かったら強制睡眠だな。





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