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独占欲強すぎの男


出掛ける準備をすると扉の前に仁王立ちしている幼馴染。

「わ、な、なに?」

不可抗力の対面にドキドキして、心音を押さえる。

ずっと扉の前に居たのかな。

流石に着替えていたので離れてくれたよね。

大学生になって益々男らしくなった相手に笑みを向ける。

「どこへ行く」

「友人とランチに……」

「男なのか」

「違うけど」

「なら良い」

男だったらどうなのだ。

「ローくんは休みなの?」

「一足先に酒が飲めるからって調子に乗るなよ」

(ええ)

調子にのる前に乗ったこともないのだが。

「あー、うん」

(飲みすぎるなってこと?)

彼は年下だからかいつも私に対して不機嫌だ。

自分が年下だから気に入らないのかもね。

「店は近くか」

「うん」

名前はなんだと聞かれて、戸惑いつつもお店くらいはとスマホで検索して教えた。

「ナンパされてもついて行くなよ。お前なんて一時間で食い破られるからな」

「食い破られるって」

そんな、モンスターみたいなこと言って。

ローは満足したのか退いた。

早足に部屋を出て待ち合わせ場所に向かう。

心なしか睨まれていたような。

昔から年上な事や年下扱いを嫌がる傾向にあったが、年々ひどくなってる。

普通、年齢と共に理解していくと収まるんじゃないの。

友達とテーブルでに座りオシャレなランチを注文する。

サラダを食べているだけでオシャレ女子の仲間入りしている気分。

雑食が野菜を食べているという真実を捻じ曲げて、ひたすら咀嚼。

「そういやあんたのイケメンな幼馴染、どう?」

「ロー?彼はまだ反抗期みたい」

「ぶは。もう流石に終わってるでしょ」

吹き出す女に困った顔でまだみたいと伝え、ここへ来る前のことを詳細に報告。

「不味いわね……」

「でしょう」

「いや、あんたが、だよ」

「私?」

悪化している方ではなく、こちらを示されてハテナを浮かべる。

「そろそろ限界かもね。腹くくっときなさい」

「何が?え?」

「幼馴染は範囲外っていう現実は嘘だったわね」

友人が訳知り顔で頷く。

「教えてよ」

「幼馴染くんが確実に教えてくれるわよ」

「もう……」

教えてくれる気が無い女にブス、と野菜をフォークで掬い食べた。




ランチから帰ってきて部屋に入るとラインが着てローからだった。

「今から行く、って今?」

両親は3日に一度帰ってくるし、今は居ないから誰の迷惑にもならないけど。

「開けるぞ」

直ぐに聞こえてくる。

部屋に招くよりもリビングの方に通す。

「ランチ早かったな」

「女の子同士だしこんなものだよ」

「へェ」

そして、10秒程沈黙が続く。

「えっと、ローも今度ランチ、行く?」

「お前とか」

断られるかなって、言ってみたけど……なんと行くとのこと。

反抗期だと思ってたからびっくり

「行くんだ」

「駄目なのか」

ふるふると首を振る。

ローの意外な返答に良かったと安堵する。

年下の気持ちが段々分からなくなってきたから。

誘って、ノーと言われたら益々付き合い難くなるし。

2日のランチを約束して帰ってもらう。

「ランチ、どこにしよう」

悩み抜いた。

スマホで色々探していくと寝落ちした。


待ち合わせは家の前。

お隣さんの待ち合わせ方法は楽だ。

格好もオシャレした。

頑張ったよ私。

彼が不機嫌にならないようにダボつかないファッションを目指した。

男も隣から出てきてこちらへ来る。

顔が合うと目を開き凝視してくるので手を振ると再びブリキ並みに動き出す。

「行こうか」

「ああ……いつもそんな格好なのか?」

歩きながら質問してくる。

「はは、今日は特別だよ。ローと出掛けるなんて滅多にないもの」

「……おれの為にか」

ポソッと言われて肯定。

候補のランチのお店に向かう。

到着してからローは臆することなくつかつかと入っていく。

女の人の比率多めだけど、平気なのだろうか。

男はメニューを見てがっつりとしたものを選ぶ。

リーシャはワッフルが気になっていたのでそちらを頼む。

「ローくんとこうやって食べたりするの久しぶりだから嬉しいな」

「まァな……おれも20歳が近いしそろそろな」

「うん?」

「お前、今彼氏居るのか?」

「うえ?突然だね」

居ないと答えると略奪する羽目にならなくて良かったと笑う。

今の問答でビビっと来た。

「ローくんは私のこと嫌ってるのかもって思ってた」

「態度はそれなりに自覚があった」

くす、と笑う。

「なんの自覚?」

「知られないように必死だっただけだ」

「私に知られたくないことって、あるの?」

「あるな。気付かなかっただろ」

「気付かないよ、普通」

首を振る。

それにローは手を顎になって擦る。

「それで、なにを隠してたの」

「昔から……お前が好きだ」

(えっっ)

暫く頭が白くなった。

ボウッとしてしまい、ローの次の発言を聞いて我に帰る。

「なに、言ってるの?」

「年下でガキのときからなんて、完全に恋愛対象外だろ?漫画で読んだ」

「読んじゃったのかぁ」

あんなのあくまで作者の思考と出版社のシナリオだと思うんだけど。

ローは本気で思い込んでしまったようだ。

苦笑するしかない。

「そんなのあくまでフィクションだって」

相手に伝えるときょとんとしていた。

「だって、私も同じ気持ちだから」

にこりと笑って、頷く。

ーーガタッ

男は椅子を立ち上がる。

「本当か」

嬉しそうにする。

「私も好きだよ」

ここが外じゃなかったら抱きついていた。

「お前を他の男に取られなくなかった。間にあってよかった」

椅子に座り直す相手を見て、心の中でそれはないよ、と付け加えておく。

ローに嫌われている可能性があったから、傷付いていたけど。

ランチも程々に、共に散歩をした。

「じゃあ、結婚を前提に付き合うか」

「……!?」

ビビった。

ちょっっっと、飛び越え過ぎじゃないの。

「とりあえず、そういう話は大学を卒業してもらわないと」

嬉しすぎても急ぐ必要はない。

「分かった。婚約だな。うちにも挨拶に来いよ」

友達の発言が今、分かった気がする。


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