×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
 
取り扱い注意


友達に新しい店が出来たのだと話を聞いた後、一緒にそこへ行く事になった。
特に何も考えず店へと足を伸ばした先はラーメン屋。
カララ、と扉のベルが鳴ると男性の声が聞こえ顔を見遣った。



「………」

「………」

「……ユースタスくん?」

「ご注文どうぞ」



え、と声に出して困惑する。
確かにラーメン屋の作り手、つまりカウンターの向こうにいるのは同じ高校のユースタス・キッドだった。
驚いたし相手も隠したがっている雰囲気があったのでそれ以上話し掛けることはしない。
友人の家の近所にあるお店なので彼の顔見知りの客は来ないと予想出来た。
なのに自分が出会ってしまったことに少し申し訳なく思う。
知らないフリをするのが彼の為だとなるべく顔を見ないように注文した。
運ばれてくるのを待っている間、彼がラーメンを作る姿をこっそり眺める。
熱い湯気が立ち込める中汗をかいて懸命に麺の水分を切る様子に心臓がドキリと跳ねた。
実は高校に入ってからキッドの事を密かに好きだったりする。
密かにと自称しているのだからリーシャ以外にこの気持ちを知る者はいない。



「お待ちどう」

「わ、美味しそうだねー」



友人の言葉に笑みを浮かべると早速箸を付けて食べた。



(あ、美味しい……)



自然と箸が進む。
その様子をキッドが見ていた事を気付かずに。
食べ終えた後会計をする時に彼が担当だった。



「お、美味しかった、です」



勇気を振り絞って伝えればキッドは目を何回かしばたいて驚いていたようだった。
恥ずかしくなりレシートを受け取ろうとすると手首を捕まれる。



「明日……いや、今日メールしろ」

「えっ?」



レシートとは違う紙切れを一緒に渡されてキョトンとしていると外にいた友人に呼ばれ急いで店を出た。
後ろを振り返ることが出来ずに紙切れを見てみるとメールアドレスが書いてあり、赤面する。
これは、期待してもいいのだろうか。
無くさないように紙切れを鞄に直すと「どうしたの?」と不思議そうに聞いてくる友人に笑顔で「なんでもないよ」と駆け寄った。







注文は君、なんてね


prev next
[ back ] bkm