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- ナノ -
 
03


「ケイタに聞いたぜ?俺をあいつの父親だって勘違いしてたんだな」

「そ、れは」

「ククッ……感受性豊かだな」


感受性豊かと言われて褒められた気がしないのは勘違いではないだろう。
図星を言われ顔に熱が集まる。
それにローとの距離が近い。



「と、とりあえず離れてもらえますか?」

「嫌だって言ったら?」

「そ!……私が退きます」



ここで向こうのペースに呑まれては心臓がもたない。
リーシャは横に身体を移動させ相手から抜け出す。



「へェ、余裕だなァ」

「きゃっ!」



パシッと腕を捕まれ腰も抱かれ、身体は先程よりも密着する。
今の自分が置かれている状況を理解すると身体がピッと硬直した。
それを感じ取ったローの笑い声が耳にダイレクトに流れてくる。
くつり。



「先生は音楽の授業を受け持ってるんだろ?」

「は、い」



声が震える。
答える義務などないのに口が勝手に動く。



「じゃあその声で俺に教えてくれよ」



耳元にローの唇が近付き、耳たぶを悪戯に吐息で撫ぜる。
ふるりと肩が揺れた。
心地が好いのか心地が悪いのかわからない気分だ。



「な、に……を」



かろうじて聞けたのは三文字。



「俺はどうして先生が好きになったとか」



吐息に合わせて耳に伝わる微熱。



「その声で人を魅力できるのか……」



先生、と妖艶な声音で問われれば脳は思考は麻痺したように甘く痺れた。
その問いに答える術をリーシャは何一つ持っていない。



「わかりま、せん……」

「ククッ……知ってる、そんな事は」



からかいが含まれる声はそのままで腰を更に強く抱き寄せられた。
その後二人がどうなったのかは誰も知らない。
たが、下校時刻を過ぎたある学校の音楽室の前を通ると明るい光と楽しげな連弾演奏の曲が聞こえるらしい。



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