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煎じられた話し(後編)


婚約破棄の騒動から数週間。
リーシャは元の故郷に戻り、ローとお付き合いしている。
家族は憤り二度とあの国に援助も慈悲をくれてやるかと怒鳴った。
そして、結婚にケチが付いたというのに、暖かくお前の好きにしなさいと言われる。
恐らく次に結婚する相手が狭まるのを理解している故に心苦しいのだろう。
許嫁の心変わりに女の気配にはこちらの国の王も眉間に皺を寄せる程。
苦労を掛けたと言葉をもらえて満足だ。
その言葉だけで報われる。
許嫁の国にはやはり抗議しないという選択肢は無く、一方的な契約違反と長期に渡りリーシャの時間を拘束したとの事で違約金を払えと王と父が書面を送った。
返事は勿論との事。
そして、これは後から知った事だが、元婚約者の公爵子息から復縁を願う書面が来ていたがローが捨てたらしい。
これは、後から聞いた話しなので遠にケリは付いていると彼は語る。
そして、最後に、予測していたがやはり国が荒れた。
次期公爵となる予定であった男の浮気と共に愉快な逆ハー達の事が庶民達にバレた。
学園での出来事は何も貴族だけの世界ではないのだから当然であるが。
それに国民は激怒。
未来ある若者に税金を払っているのであって、浮気する男達の為に与えた物でない、と。
そんな具合になって今、彼らをこのまま次期の地位に付かせれば反乱が起こる。
貴族達の間でそんな話しが出ている。
そして、学園であっても話しかけるのがアウト、それを堂々と破り風紀を乱した女にこれ以上学び場を乱されるのはいけない。
圧力があちこちから掛かり、既にハーレム達の親の権力で押さえ込めなくなるのも直ぐだろうと言われている。
多勢に無勢とはこの事。
ダメな事をしてはいけない。
そんなの幼児でも理解できるのにやらないし学習能力がない女。
それが学生達の評価。
中も外にも味方は居ない。
彼等が背負うのは我が国がもたらした資金の回収だ。
借金を背負った。
こちらの国が婚約金として払っていたお金は富に溢れていた。
そのお金が理由ありでもらっていたが、その婚約が無くなり無効になり、更に使った分を借金として払う事になる。
彼の国はもらった金をとっくに使っていたらしく全て返してもらうのは不可能。
となれば違約金も含めて彼等は借金を抱え、更に国は国としての機能を失い掛けている。

「向こうの王が責任を負うように命じた時は何の事だか理解していた風には見えなかったが、本当に理解してなかったとはな。つくづく王の教育を疑う息子達ばかりだ」

ある国の公爵が言った言葉が脳裏を過ぎた。
国は衰退の一歩を刻々と刻んでいる。
免罪なのも証明されているので既に国から謝罪を受けているが許す訳がない。

「リーシャ」

思考に回想を重ねていると名を呼ばれその方向を見ると見慣れた姿が眼に写る。
こちらに来ると抱き締めてきて目を合わせて来る。
何か楽しそうな顔でニヤついていた。
こちらに言いたくて言いたくて堪らないといった様子で目が細い。

「アイツ等、来るんだってな」

「嗚呼。知ってるよ」

「何だ、知ってたのか」

借金を負う事になってその責任と国を無造作に乱したのだ。
それも加えて前回の事を自ら謝りに来るという事だが、許さない事はローと決めている。
無慈悲に隙無く追い払えば良いが、こちらの国が是非国なりにお礼(仕返し)をしたいというのでサプライズをするのだ。
当日が楽しみである。
ローも何やらやっていたのでその関係かと思われる。
リーシャもお礼をしようと色々吟味している所だ。
こちらに居る家族も腕を奮おうと気張っているし、周りの知り合いもニヤニヤしている。
どうなるのか今から気になって仕方がない。
彼らもきっと直ぐに後悔することになるだろう。
想像に難しくない。
美肌にしようと日々頑張っているので、今日も早めに就寝しようとお布団に入る。
朝、鳥の鳴き声により起きると家に居る家族が花束を持ってきてローからだと微笑ましく言ってきた。
家族に見られるのは恥ずかしかったのでローに手紙で目立たない物にして欲しいと頼まないと。


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