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非常食を食べてみる


干し物女を貴女はご存知だろうか。
仕事などではキリッと熟(こな)すが私生活ではダラッとしている女性の事だ。
まさにその言葉がピッタリ当て嵌まるのが私なんだけど。
だって、家で私服とか面倒臭いし寝転ぶ時はズボンが窮屈に感じるし。
とにかくリラックスしたいので安物のゆるっとした半袖とジャージを着こなす。
あ、着こなすとかオシャレな響きで違和感あるな。
と、現在家のベッドでゴロンゴロンしている私は片手に携帯と片手にお菓子。
片手で携帯打つの疲れる。
カチカチ押すのも筋肉使うからだるい。


「おい、干し物女」

「何、不健康男」


一応これでも彼氏と彼女の関係だが何年も経つと初々しい空気なんてない。
別にそれは関係が冷えているとか興味がないわけじゃないから。
ただ慣れ親しんだ相手だから取り繕う必要はない。


「あんな所にカンパンあんぞ」

「非常食だから駄目」

「別にいいだろ。賞味期限明日だしな」

「え、まじ?」


マジだ、と本気の目を向けるローにしょうがないなぁと重い腰を上げる。
あれが賞味期限切れるなら、あと二つあるカンパンも食べなければならない。
そのウマを伝えるとローが口元を上げて食べ方の提案をした。


「そんだけあるなら飽きちまう。生クリームとかメイプル付けて食べてみねェか?」

「あ、メイプルよりチョコで食べたい」


何でもいいからお腹が空いたので早くカンパンに追いつきたい。
少しワクワクする。
カンパンは家にあれど手は出さない代物。
賞味期限なんて普通のお菓子に比べれば長い。
なかなか出来ない体験だ。
缶の中にあるカンパンを皿に出すと早速生クリームやらメイプルを出した。


「異様な光景だな」

「うん。ローはカンパン食べたことある?」

「いや、ねェな」

「私も。って事はこれが初めて食べるカンパンなわけだ」

「確かに家にあるが普段は食わねェよな」


言い合いつつも美味しくいただけました。


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