6月15日その4



「それじゃあ、皆大体のことは彼から聞いてるんだね。」


「はい、一応聞いています。」


本当に一応しか聞いていない、僕たちが知っているのは

五十嵐先生の名前と明日から美術教師として月光館学園に来る事

その程度だった。

実際は挨拶もそこそこにさっさと理事長対策の作戦会議を開いていた。


「彼は本来は別の高校の教師のはずだったんだけどね。

ある日いきなり影時間に適応してしまったんだよ。

いやー本当に吃驚だねー。」

先生はそのときペルソナ能力を手に入れたらしい。


「そんでその場面をちょうど理事長に見られててな、

月光館学園につれてこられた。」


偶然といえば偶然の積み重ねで五十嵐先生はここにやってきた。らしい。


理事長はそんなこともあったねーと気楽に笑っているが、確か影時間に適応

したとしても錯乱状態になるらしいから、五十嵐先生としてはそんな笑える状況では

無かったと思うのだが・・・・。


何を考えているのか、五十嵐先生は特に何も言わなかった。


「そういえば、先生のペルソナってどんなのなんすか?」


目下、理事長にギャグを言わせない作戦が進行中の俺たちは

作戦通り、五十嵐先生に質問攻めをはじめた。


とはいえ、これは本当に聞きたかった事だった。


五十嵐先生の性格(もっとも出会ってからまだ数時間しか経っていない。)

から言うと、妙に魔法とか似合いそうだ、勿論頭が良さそうとか


そんな理由ではなく、ただ単に自分から動いて攻撃するのではなく


遠くからラクーに適当に攻撃してそう。

それが僕の五十嵐先生の印象だった、


「俺のはインティっつー太陽の神?だ、アルカナもそのまま、太陽。

ちなみに物理攻撃に耐性が付いてて特に弱点はない。」

得意なのはジオ系の魔法攻撃だ。

聞いてもいないことをぱっぱと教えてくれる。

五十嵐先生は驚くほどに自分のペルソナのことを理解していた。


やっぱり得意なのは魔法だった、五十嵐先生が物理攻撃とか回復魔法とか

補助とかしているのは全く想像がつかなかったからな・・・・。


「へー・・・あ、そうだ知ってますか?五十嵐先生。

リーダーはペルソナの付け替えが出来るんですよ、ねリーダー。」


風花は俺にも話を振ってきた。


「ああ、話は理事長から聞いてはいた、が本当にペルソナを何体も持っている

奴がいるなんてなー。」


「そう・・ですか?」


「ああ、流石の俺もちょっと吃驚したぜ。」


あまり興味はなかったけれど、ペルソナとはもう1人の自分

ソレがたくさんあるという僕が少し変わっているらしい



イゴールはワイルドの力とか言っていたか・・・。


それにスキルカードやらミックスレイドやら僕限定の能力が


やたら多いのも気になる、一体僕はなんなのだろうか。


今更ながらに自分自身について真剣に考えていると


思い出したかのように美鶴先輩が言った。


「そうだ、五十嵐先生には今日からタルタロスの探索に入ってもらう。」


「うげっ、今日からっすか!?」


「ああ、彼が今日からでもいいと言ったのでな。」


何故だろうか、先輩は妙に五十嵐先生にキツクくあたっているように感じる。


まぁ、先生があの感じだからな、美鶴先輩はあまり好きにはならないだろう。


「だ、そうだから、今夜からヨロシクなリーダー。」


そんな桐条先輩のキツイ視線を気にする風でもなく。

軽く流してしまう、五十嵐先生は結構凄い人だと思う。


その面倒な事を軽く受け流せる性格はとても尊敬したい。


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bkm
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