その中心に、親指を添える。
くぼみに爪を立てて、くい、と少しくいこませる。
爪の中ほどまで指が埋まったなら、引っ掻くように親指を曲げて。
指を撫で這わせるように、ぺろりと皮を剥いていく。
普通ならば、多少は飛沫に汚れたり、爪の中に痕跡が残ろうものなのに。
ロビンは実に器用に丁寧に、蜜柑の皮を剥いていく。
そうしてあたしに、きれいなオレンジ色にうるおうその実を差し出すのだ。
それはいつもの見慣れた光景。
けれどそろそろ、見飽きた光景。
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