燭台切光忠との夜は甘い ※変換あり

「僕だよ。失礼しても良いかい?」
「はーい!どうぞ!」

すっと襖が開いて着流しの光忠が現れた。お風呂上がりの彼は、普段の1.5倍ほど色気が増している。恋仲になって久しいが、未だに心臓にはよろしくない。

「グラスとか氷の用意ありがとうね」
「いや、それは構わないけれど、肝心の中身は?」
「んふふ、私の取って置きがあるのよ」
「取って置き?」

今日は、いつも厨仕事を頑張ってくれている彼を労おうと、全ての用事を済ませたら部屋に来て欲しいと頼んでいたのだ。

押入れの奥から大き目の瓶を取り出す。

「一緒に飲もうと思って」
「これは…梅酒?」
「そ。前に仕込んだの。我ながら良い感じに浸かってのよ」
「へぇ、それは楽しみだな」

グラスと氷に手を伸ばしかけた彼に待ったをかける。

「私がやるから、光忠は楽にしてて」
「ふふ、今日は主ちゃんにおもてなししてもらえるんだね」

嬉しそうな彼を見届け、グラスに氷を入れてマドラーでかき混ぜる。グラスが冷えたところで瓶の蓋を外し、杓子でゆっくりと中身をかき混ぜた。グラスから溢れないように丁寧に注いで手渡す。

「いつも本丸のみんなに美味しいご飯を作ってくれてありがとう」
「いや、僕が好きでやってることだから」
「そう言うと思った。それでも、いつもありがとう」

自分の分もよそってグラスを目線の高さまで上げた。

「では」
「うん」
『乾杯!』

氷によって冷やされた梅酒がとろりと喉を伝ってゆく。

「んん…美味しい」
「お口に合って良かった」
「今度漬けるときは僕も一緒にやりたいな」
「わかった、梅の季節になったら声かけるね」
「よろしくね」

彼は毎日美味しいご飯を作ってくれる。それも三食だけでなく、おやつまでも、だ。加えてうちの本丸は大所帯。厨当番もいるとは言え、リーダーとして取り仕切ってくれている彼には頭が上がらない。

「…ね、僕だけ頂いちゃっていいのかな?歌仙くんは?」
「歌仙も凄く頑張ってくれてるよね。彼には雅な帯紐をプレゼントしたのよ」

サブリーダーを担ってくれているのは歌仙。二人がうまく協力してくれるからこそ、効率よく無駄なく厨が回っている。ほかの男士の事も忘れずにフォローする辺り、さすがだ。

「私の勝手なんだけどね、光忠には少し特別なお礼をしたくて」
「ふふふ、愛されてるんだね、僕」
「改めて言わないでよ、もう…」

余りにも幸せそうに微笑む彼に思わず赤面してしまう。

それからは他愛もない話をした。畑で栽培してみたい野菜は何だとか、倶利伽羅は小動物系に弱いとか、この前日本酒が切れてしまったとき、ザルの次郎さんが料理酒にまで手を出そうとしたこととか。たくさん話せば喉も渇いて、お酒が進む。お互いにほろ酔いになった頃だった。

「こっち、おいで」

呼ばれて彼の隣へと腰を下ろす。すぐに優しい手が下りてきて、肩へ凭れさせるように頭を撫でられた。

「落ちつく…」
「そ、だね」

うっとりした声で言われたけれど、こっちは心拍数が上がってしまう距離。彼にバレバレなのは承知の上で、なるべく平静を装う。

「ね、主ちゃん」
「ん?…っ!」

甘えた声を出してきたなと思った途端に唇を塞がれた。彼のそれは薄いのにプリプリしていて、とても気持ちいい。次第に啄ばみが激しくなって、ついには深く侵入されていく。

「…ふ、ンン」

そのまま身を委ねていると優しく押し倒された。痛くないよう後頭部に回された手に彼の愛情を感じる。

「いいかな?」
「うん…」

行灯からの灯りが彼の色気を引き立てている。当の彼もスイッチが入ったのか、普段の穏やかな瞳ではなく、狩を行う野生動物のようなそれに変わっていた。当然、そんな眼差しを受け止められるはずもなく、了承と共に顔を逸らしてしまった。

「ふふ」
「…なに?」
「いや、いつまでも初だなと思って」
「仕方ないじゃない…自分じゃどうしようもできないもの」
「君のその膨れっ面も割と好きだよ」

反論する間も無く再びの深いキス。彼の舌が上顎をなぞる度にビクビクと身体が勝手に動く。くすぐったいのに気持ちいい、変な感覚。そのまま唇は首筋へと降りていく。胸元に到達するころ、そこで彷徨っていた手が荒々しく浴衣を暴いた。

「んン…」

やわやわと胸を揉みしだかれながらチリっとした痛みが所々に落ちて行く。本当は見えるところに付けたいんだけどね、と以前彼がぼやいていたキスマークだ。

ふと、クスッと漏れた笑いが聞こえてきた。

「…な、なに?」
「こーこ。固くなってる」
「ひゃ!」

胸の先端を摘まれた。そのまま優しく刺激されれば勝手に身体が反って、まるで突き出すような姿勢になってしまう。

「ぁ、…きもち、ぃ」
「もっとする?」
「ん…して」

片方はグニグニと弄ばれて、もう片方は舌で奥へと押し込まれる。

「あっあ、ゃ…ん!」
「ふふ、そんなに腰くねらせて…やらしいんだから」
「だって、光忠が、」
「そうだね。僕のせい…ふふ」

妖しい微笑みのまま、今度は下にも手が伸ばされる。

「や、ん…んっ」
「わぁ…凄い、ここも」
「んぅっ」

下着の隙間から入ってきた指が私の中を解し、次第にかき回していく。核を親指で押さえつけられたままのせいで、中の指の動きと連動して左右にグリグリと弄ばれてしまう。そこから更に胸の先端を舌で転がされては、もうどうしようもない。強すぎる快感が、無意識のうちに身体を捩らせる。

「あ!あ!…っだめ、みつただ、も…あ!」

最後には真っ白になった。

「っは、…はぁ、あ…」
「主ちゃん、可愛い…」

額へのキスと同時に、指がずるりと引き抜かれた。体液で濡れそぼったそれを、彼が嬉しそうに見ているのが恥ずかしくてどうしようもなくて、近くにあったティッシュを渡す。

「…それ、早く拭いて」
「恥ずかしい?」
「っ!」

見透かされたように笑われる。どこまで羞恥心を煽ってくるんだ、この伊達男は。そっぽを向いていると始末をした彼がすり寄ってきた。

「ねぇ、僕のも触ってくれるかい?」
「…うん」

彼の下半身に手を伸ばす。膨らんだそこからはすでに体液が染みていて、彼の下着を濡らしていた。

「光忠も凄いことになってる…」
「主ちゃんを触ったり見てたりしたら、こうなっちゃった」
「…変態…」
「主ちゃん限定で、ね」

下着をずらして彼のものを取り出し、その熱さと大きさを再確認する。凸凹しているのは血管が浮き出ているのだろう。過去に視認したときの記憶を辿る。手を上下に動かすと、覆いかぶさっていた光忠の肩が揺れた。

「んっ…はぁ」
「光忠、気持ちいい?」
「ん、いいよ…」

一段と低い声で囁かれてゾクッとしてしまった。

たまに鈴口を軽く引っ掻きながら竿の方をさする。次第に彼の息遣いが荒くなっていった。

「ねぇ、も、挿れていい?」
「うん。私も欲しい」

先に状態を起こした彼に腕を引っ張ってもらう。お互いに下着を脱いで、予め敷いておいた布団へと移動。今度は私が上だ。彼のものに手を添えて、ゆっくりと腰を下ろした。ミチミチと音を立てながら、その凶器は私の中を満たしていく。

「…ぁ、や、ぁ」
「くっ」
「ん…はぁ、入った…馴染むまで、ちょっと待って」
「っ、オーケー」

動きたいのを我慢しているのだろう、私の腰を掴んでいる彼の手に力が篭る。我慢させているのが申し訳なくて、彼の頬や額にキスをした。

(もう、大丈夫かな?)

少しずつ、ゆっくりと腰を動かしていく。彼がとても色っぽい表情で見てくるのがらたまらない。女性にも征服欲ってあるのだろうか。そんな事を考えていたら急に下から突き上げられた。

「きゃ!あんっ、や!」
「最中に、考え事とは、余裕だね」
「あっ、ちが、光忠が!」
「ん?僕が、どう、したのっ」
「みつただ、に、見惚れてた、のっ…」
「…全く、君には、敵わなぃ、な!」
「ひゃ!ああっ」

急に起き上がった彼に再度押し倒されて太ももを抱えられ、そのまま乱暴に突き続けられる。奥の弱いところに当たって声が抑えられない。

「あ!ひ、ぁ…あっ!」
「ふ、声、あまり大きいと、みんなに聞こえちゃう、よっ」

ならやめて欲しいと言いたいのに、口から出てくるのは、みっともない嬌声ばかり。こんなに気持ち良くなってしまっては、もう何も考えられない。だらしなく喘ぐ他ないのだ。

太ももが解放されて彼と抱き合うことができた。この体勢が一番好きだ。彼の息遣いや身体、匂い、色んなものが感じられるから。

「主ちゃん、僕、もう、イキそう」
「ん、いいよ、イってっ」
「っ、あ、」
「ひゃ、あぁっあ!」
「…イ、くっ」

彼のものがビクビクと脈打つ。脱力した全身を預けられ、重苦しいのが妙に嬉しかったりする。見た目より硬い髪を撫でていると再び突き上げられた。

「ひ!…?!」
「ごめん、またっ」

甘い夜はまだまだ続きそうだ。


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