(注)ディアボロ成り代わり設定
ジョルノが少し病んでる
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このナマエは、ほんの数ヶ月前までは間違いなく絶頂であった。
それをあの新入り、ジョルノ・ジョバァーナによってぶち壊されたのは記憶にも新しい。よりにもよってあの尻の青い若造に。私は殺されたのだ。…否、この言い方には語弊があるな。死という事実に到達出来ないのだから、"殺された"なんて可笑しな話だ。
何度も何度も生と死を繰り返して、私は生きている。突然生を奪われ、見知らぬ場所でまた生を与えられて。だからと言って輪廻転生して生まれ変わったという訳でもなく、私の人格や記憶、姿形は保たれたまま。ピンクの髪を斑模様に染め上げたこの長く鬱陶しい髪だってそのままだし、服装だってあの時のままだ。変わった事と言えば、ただ一つ、私の片割れのドッピオが居なくなったくらいか。彼奴が居なくなって悲しくないと言えば嘘になる。だが、私には悲嘆に暮れている時間など無い訳で。
今日もまた生を手放し、そして甦る。まるでゾンビの様だと嘲笑が漏れた。
「…なあ、お前もそう思うだろう?ジョルノ・ジョバァーナ」
「いいえ、僕はそうは思いません。ゾンビにしては貴女は美しすぎる」
「随分とお優しいのだな。それとも、誰にでもそうなのか?」
「いいえ。貴女にだけですよ」
眼前の男、ジョルノ・ジョバァーナは笑みを絶やさずに言葉を紡ぐ。その目の奥に滲み出る狂気の何とうすら寒いこと。背筋に冷たいものが走った。
「それにしても、貴女が此処へ訪れるとは珍しいですね」
「…来たくて此処へ来た訳ではない」
それはコイツが一番分かっているだろうに。先程不幸にも車に跳ねられ、気付けば此処にいた。それだけの話だ。それ以上は無い。
「いいえ、貴女が此処に来たのには何か意味があると思うんです。何か運命じみたものを感じませんか?」
「ハッ、運命だと?貴様との間には感じないな」
「そうですか…それは残念です」
男は微笑を絶やさずに、それでいて目だけは確かに怒りの炎を湛えながら、躊躇無く私の腹を蹴りあげた。
込み上げてくる嘔吐感に思わず口を抑えて蹲る。
「ぐっ…」
「もう惨めな生を終わらせてしまいたくて、無意識に僕の元へ来てしまったのかもしれませんね」
「…っ、」
「僕の"鎮魂歌"の効果を終わらせることは出来ませんが、守って差し上げる事は可能です。どうです?僕に飼われませんか?」
「っ、冗談だろ…」
「悪い話ではないと思うのですが。貴女は全ての脅威から守られ、僕は貴女を手元に置ける。ね、これって一石二鳥ではないですか」
「ふざけるな…っ」
「何を警戒してるんです?大丈夫ですよ、安心して下さい。僕ら二人だけで暮らすんですから。誰にも何も言わせないし、手出しもさせません」
何が大丈夫なものか。コイツに飼い殺されるのだけは真っ平御免だ。
「いっそ殺せ。貴様と居るくらいならば死んだ方がマシだ!」
「死ねない癖に一丁前な口を聞くんですね。…でも、そうですね、腹上死なんて如何です?貴女にお似合いだ」
ね、貴女もそう思うでしょう、ナマエ?
耳元で囁かれたその言葉は、有無を言わさぬ甘美な響きを含んでいる。蹲る私に跨がるジョルノ・ジョバァーナは綺麗な笑みを浮かべて私を見下ろしていた。嗚呼、逃げ場など最初から無かったのだと。認めたくない現実を突き付けられ、私はかたく目を瞑った。願わくば、これが夢でありますようにと祈りながら。
>>>atogaki
ディアボロ成り代わり良いなあって思いまして。人妻で子持ち、そして二重人格と大変美味しい要素を盛り込めるので。
ジョルノはちょっと病んでるくらいが好きです。~131012