「ただいま…外は寒いな」
「あ、おかえりなさい吉良さん」
一家の大黒柱とも言える吉良吉影さんのご帰宅だ。
本日はくたびれた顔に加え、色白の顔をより青ざめて帰ってきた。それが外は如何に寒いかを如実に物語っていて、見ている此方まで凍えてきそうだ。
吉良さんは震えながらもコートを脱ぎ、ハンガーにきっちり掛けてから此方へと―つまりは炬燵の方へ―やって来た。
「寒い、寒すぎる」
「外との温度差は凄いですよね」
「まったくだ」
吉良さんが入りやすいように炬燵を捲り上げて彼を迎い入れる。そうして吉良さんが炬燵に足を突っ込んだところを見計らって、真横から思いっきり抱き付いた。首に腕を回し、ぎゅうっと締め付けるように。
吉良さんの肩が一瞬だけビクッと跳ね上がったけれど、気にせずにハグ攻撃をお見舞いする。
「ナマエ…?何してるんだ?」
「どうですか?暖かいですか?」
「うん?」
何故いきなり抱き着いたのかと言うと、人肌で吉良さんを暖めてあげようとの考えなのである。随分と原始的な方法だが、暖を取るならば人肌こそ良いのではないかと思って。だから、これで暖まってくれると良いのだけど。
「…ああ、成る程」聡明な吉良さんは私の意図をすぐに理解してくれたらしく、笑いながら抱き締め返してくれた。
「可愛いことをしてくれるね」
「どうですか?マシになりました?」
「ああ、大分暖かくなったよ」
「それは良かった」
ぎゅうぎゅうとお互いの体を抱き締めあう。端から見れば、片や一人は炬燵に足を突っ込んでいるこの状況で、何の為にハグをしているのかと不思議がられそうだが、幸いこの場には私と吉良さんの二人だけしか居ない。煩い二人組―カーズさんとDIOさんの事だ―に騒がれる心配も無いのだ。
そうやって吉良さんと抱き合って暖を取っていると。
「ただいま」
買い出しに行っていたドッピオくんも帰って来た。
「あ、ドッピオくん!おかえりなさい。寒かったでしょ?お疲れ様」
「いえ、このくらい…あれ?二人で抱き合って何してるんですか?」
「二人で抱き合って暖めあってるの」
「へえ…」
納得したように一つ頷いた後、ドッピオくんはスーパーの袋を台所に置いて此方にやって来た。
だから、ドッピオくんも炬燵に入るのかと思いきや…
「うわッ!?」
背後からぎゅうっと抱き締められた。
前は吉良さん、そして後ろはドッピオくん。前後からぎゅうぎゅうと抱き締められて少し苦しい。けれども身は勿論のこと、心まで暖かくなった気がするし、たまにはこんなのも良いかも…なんて。
「確かにこうしてると暖かいですね」
「あはは、ドッピオくん重いよ」
「一番体重が掛かっているのは私なんだがね」
誰からともなく、三人で顔を見合わせて噴き出した。
そんなある日の一コマ。
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頂いたネタで書かせて頂きました。ネタ提供有難う御座いました!
吉良とハグとの事だったのですが、管理人の稚拙な脳ミソではこれが限界でした…。果たしてこれがハグと言えるのか…?いや、ハグです。そういうことにしておいてください。ついでにドッピオともハグ?させてしまいました。
三人のイチャイチャっぷりが書けて満足です。
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hug hug hug!