(注)ただただ男の欲望についてのお下品な話が続くだけです。下ネタ注意。
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「ディアボロさんの寝床お掃除させて下さい。あ、もし見られたくないものや捨てられたくないものが有ったら、先に取っといて下さいね」
「分かった」
ディアボロの寝床もとい、生活スペースは押し入れの上段だ。そこへ布団を敷き、体を丸めて窮屈そうに眠ったり、趣味の時間(専らネットサーフィンであるが)を費やしたりしている。人一人でも窮屈な狭さではあったが、それでも彼からすると世界一安全と言える場所だった。故に安全と引き換えに安眠を差し出す事に何の抵抗もなかった。
下段は狭いながらも、収納スペースに有効活用している。ほぼお年頃で尚且つ女であるナマエの私物で埋まっていたが。
「(見られたく無いものは特に無いな。捨てられたくないものは…、本は退けておくか)」
布団の上に積まれた小説を取り出す。本と本の間から食べ終わったスナック菓子の袋も出てきて、ディアボロは思わず顔を顰めた。我ながら不潔過ぎる。
「ナマエ、もう良いぞ」
「はいはーい」
ディアボロの承諾を得たナマエは、いそいそと布団を剥がしにかかった。そして、布団を押し入れから出した辺りで何かを発見する。一見するとDVDのケースのようだが、何故布団の下に隠すように保管されていたのかは分からない。不思議に思いながらも、ナマエはそのケースを手に取った。そして次の瞬間、「うわっ」と小さく声を漏らす。
「…あの、ディアボロさん、これ…」
「え?…あッ!!」
ギギギ、と油を差していないブリキの玩具の如く振り向いたナマエの手には、DVDのケースがしっかりと握られていた。
そこまでは良かった。そこまでは。問題はナマエの手の中の物。それは間違いなくアダルトビデオであった。知らぬ振りで通すにしては見に覚えが有りすぎる。
ディアボロはサーッと血の気が失せていくのを感じた。
あれは確かDIOが持ってきた物だったか。良さそうな女子高生ものが有った!とか何とか言って嬉々として持ってきたのだ(余談ではあるが、何故女子高生ものなのかと言うと、ある人物を重ねているとかいないとか。しかもパッケージ写真もそこそこ似ていたとかいないとか)。
それを何故か―何が悲しくてそうなったのかは忘れたが―DIOとカーズとディアボロの三人で観賞しようという話になったのだ。カーズは別に必要無いだろ、と二人で突っ込んだのも記憶に残っている。
ところがそのAV、パッケージこそ良かったものの、いざ蓋を開けてみると、中身はとんでもない代物であった。えっ、これ本当にパッケージの子と同じ子なの?と問い質したいくらいには女子高生だと謳う女優の外見が違ったのだ。所謂パッケージ詐欺である。無意識に三人で口を揃えて、「ばばあじゃあないか…」と呟いていた程だ。
そんな経緯から、萎えに萎えた男達はものの数分でそのDVDを停止していた。女優が喘ぎ出した瞬間に何とも言えない不快感が襲ったのだ。おまけに、服の下はポルポのようだったと後にディアボロは語る。
「………」
「………」
「………」
AVを前に黙り混む大の男が三人。パッケージの中では、誰が見ても文句のつけようの無い女の子が笑顔を振り撒いている。
抜いてもいないのに関わらず無気力感に襲われ、口を開く気すら起きやしない。しかし、カーズとディアボロの心中にはDIOに対する怨恨が渦巻いていた。おぞましい物を見せやがって…と。
「これ、どうするんだ…」
「捨てるに決まっているだろう…」
ディアボロの問いにDIOが重々しく答える。
「…捨てて来る」
「うむ」
カーズが神妙に頷いた。
道端に捨てていたいけな青少年を嵌めようという気のDIOは、玄関に向かうべく立ち上がった。そして、次の瞬間固まった。理由は単純。一番見付かってはならない人物―つまりは、ナマエが帰宅したからである。
「ただいまー。あれ、DIOさん何処かへ行くんですか?」
「ナマエッ!?」
「な、何なんですかその反応…少し傷付くんですが…」
「いや、何でもない…ただ驚いただけだ…」
「人を化け物みたいに…DIOさんの方がよっぽど化け物じゃないですか。…ん?その手に持ってるの、何ですか?」
「ナマエには関係の無いものだ」
「そう言われたら余計気になるんですよね。見せてくださいよー」
「良いから手洗いとうがいして来い」
「それ見せてくれたら行きます」
「二度同じ事は言わせるな」
「もう、分かりましたよ…」
DIOに「駆け足ッ!」と渇を入れられたナマエは、むくれながらも洗面所に向かった。その間に顔を近付け、作戦会議をおっ始める男達。議題は、このAVをどうするか。このまま捨てに行くのも怪しまれそうで頂けない。かと言って、このまま置いておく訳にもいかず。そこで白羽の矢が立ったのが、ディアボロの寝床だった。
ディアボロの寝床ならば年中布団を敷いたままだし、その下に隠しておけば見付かる確率もガクッと下がる。よし、そこにしよう。そうしよう。当事者であるディアボロを差し置いて、話はトントン拍子に纏まった。
そして話は戻る。ディアボロの前にはもう見たくなかったAVと、顔を赤くして申し訳無さそうにしているナマエが。事態は間違いなくディアボロの不利な方へと傾いていた。
これは不味い。何とかして誤魔化さなくては…。
「それは俺のじゃあない。良いな?俺のものでは無いのだ…」
「だ、大丈夫ですよ。ディアボロさんも男の人ですし、悪いことなんて何も無いんですから…。私のデリカシーが無さ過ぎたんです。それに、私は全く気にしませんから…ほんとに。ただ、女子高生ものってどうなのかなあって思いますけど…犯罪じゃあ無いですか…」
引いている。確実にナマエは引いている。大丈夫だと口では庇ってくれているが、あれもお年頃だ。そのお年頃の娘に女子高生もののAVは刺激が強すぎた。
「良いか、ナマエ。よく聞け。それはな、DIOが買ってきたものだ。俺は見てもいない。つまりは無実だ」
「…ひッ!どうして近付いてくるんです!?」
「誤解を解きたいからだ!」
「なら離れてても大丈夫でしょう!?やだ、来ないで下さい!それ以上近付いてきたら、ななな殴りますよっ!?」
ディアボロが一歩踏み出す度に、ナマエは一歩後退る。しかし、それをするにはこの部屋は狭すぎた。
あっという間にナマエは壁際へ追い詰められ、空いていた距離も詰められて、目と鼻の先には目が据わっているディアボロが居る。震え上がらない訳がなかった。目の前の男は女子高生物で喜ぶ変態なのだ。ひしひしと身の危険を感じた。
そんな最悪の状況下へ全ての元凶であるDIOが、
「ディアボロ、あのDVDはどうだった?お前のご所望の物だし、さぞかし楽しんだのだろうな?あれを買ってくるのはちと恥ずかしかったぞ…」
なんて厭らしい笑みを浮かべながら割って入ってくるものだから、さあ大変。
ナマエは今までに見たことの無い程はっきりと侮蔑を含んだ表情でディアボロを見た。やっぱりバッチリ見ていたんじゃないかと。そういえば以前何度か襲われそうになったが、成る程そういう事だったのかと。目が口ほどに物語っていた。
「DIO!お前は黙っていろ!ナマエ、違うんだ!今のDIOの言葉は無視しろ!」
「…見損ないました。見てないなんて嘘つくなんて…」
「だから、誤解だ!ああックソッ!DIO、貴様笑うな!!」
誤解以外の何者でも無いのだと、懇懇と説き続けて何とか分かって貰おうとするも、ナマエはまるで聞く耳を持たなかった。その後、彼女の誤解が解けるまでに丸三日は要したという。
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同居ものってこういう定番ネタを書きたくなります。
カーズはさておき、荒木荘の面々も男性なのだから性的欲求も有るわけで、やっぱりアダルトビテオも見たりするのかなあって思いまして。見るにしても夢主が居ない時にしないといけないし、結構大変そうですが。見付からないように風呂場で抜いちゃって排水溝詰まらせたりとかもしてそう。主にディアボロが。
でもイケメン揃いだし、欲求不満になれば普通に女性引っ掛けるなりはしてそうですよね。
DIOはAVを見ずとも、自分で企画物AV(詳しくは書かない)みたいな事出来そうですね。素晴らしいスタンド能力だ。
131106
Hなビデオにご用心