荒木荘 | ナノ
ナマエは洗濯機を回そうと洗濯カゴを抱え、脱衣室の引き戸を引いた。

「……!?」

そして勢いよく閉めた。

「…ナマエ?」

脱衣室の中から声がする。しかし今はとても答えられる心境ではなかった。

誰も居ないと思って開けた脱衣室。だが、そこにはディアボロが居た。しかも、今正に風呂に入ろうとしていたのか生まれたままの姿で。
風呂に入るのだから勿論下半身は隠していなかったし、ナマエも目を瞑っていた訳ではなかったから、真正面から見てしまったのだ。ディアボロの"アレ"を。
以前風呂場で絶命したディアボロを助けた際に局部を見てはいるが、あの時は緊急事態で気にする余裕は無かったし、そこまで気にも留めなかった。しかし、今は違う。緊急事態でも無いし、何かに意識を取られることもない。一瞬とは言え、そんな物を見せられて気が動転しない訳が無かった。

扉を背にしてナマエは床にへたりこんでしまった。心臓に悪すぎる。不可抗力とは言え、見てしまったことへの罪悪感と羞恥心で頭がどうにかなりそうだ。

「ナマエ?大丈夫か?」

再度ナマエの名を呼ぶディアボロ。ナマエは何とか気持ちを静めようと、深呼吸を繰り返した。

「気分が悪いのか?」
「…だ、大丈夫です…」
「大丈夫と言う割に声が震えている」

頼むから早く風呂場へ行ってくれ。
ナマエは必死に祈ったが、その祈りは神には届かなかった。

「ナマエ、お前本当に大丈夫なのか」

脱衣室の扉が内側から開かれ、ディアボロが顔を覗かせたのだ。

「っちょ、ディアボロさん!戻ってください!見える!見えますから!!早く入って!!」
「見えるって何が」
「〜〜っ、アレですよ!!男性についてるアレ!もうっ!こんな事言わせないで下さい!」
「アレ…?ああ、ペニ…」
「馬鹿!言わなくて良いんです!」

慌てて振り返り、ディアボロの口を塞いだ。その時にまたちらりとディアボロの肌が見えて(普段から上半身は露出しているが)、ナマエの意識は一瞬遠退く。

「(ああ、そういうことか)」

ディアボロは全てを察し、ナマエの手の下で下卑た笑みを浮かべた。そして、ナマエの腕をむんずと掴み、脱衣室へと引き摺り込んだ。

「!!?、なに、なに…っ!?」

可哀想に酷く狼狽したナマエの口から出てくるのは同じ単語だけ。

「なあ、ナマエ」
「っ、」

脱衣室へと閉じ込められたナマエは扉とディアボロの間に挟まれた。
出来るだけ目の前のディアボロを見ないようにと視線を宙にさ迷わせる。だが、目線をあっちへやりこっちへやりながらも、何か脱出の手立ては無いものかと調べるのだけは忘れない。だが、悲しいかな唯一の脱出口と言えば扉だけだし、その扉はディアボロが押さえていて逃げることは不可能に近い。所謂、絶体絶命。

「此処に俺が居るのを知っていて、わざと入ってきたのか?」
「ち、違います!!まさかディアボロさんが居るって知らなくて…!」
「そうか。…だが、そんな事は今となってはどうでも良い。ナマエ、俺と一緒に風呂に入らないか?」
「は、え…何言って…」
「一人だとどうも寂しくてな」
「いつも一人じゃないですか…!」

全裸の男が目と鼻の先に居るというのは、ナマエに多大な恐怖心を抱かせた。そのお陰で、抵抗したくとも四肢に力が入らない。

「服は脱がないのか?…ああ、脱げないのなら、俺が脱がせてやろう…」
「や、やめ…」

ディアボロの手がナマエの服の中へ侵入した。脇腹を優しく撫でられ、上へ上へと手が上っていく。

「…んんっ、駄目です…!ディアボロさん…!」
「駄目?ならば抵抗すれば良いだけだ。違うか?え?」

ナマエが抵抗出来ないのを知っていながらディアボロは言う。その顔に浮かんだ笑みはまさに"悪魔"。
どうにもならなくなったナマエは、只唇を噛んで耐えるしかなかった。その間にもディアボロの攻めは止まらない。ナマエの耳に舌を這わせ、耳朶を甘噛みし、ナマエの反応を楽しむ。刺激を与える度に反応する体は何とも情欲的だ。

「んん…っ!」
「どうした、抵抗はしないのか」

ディアボロの手がナマエの下着へと掛けられた、その時である。

「ナマエ、どうしたんだ?洗濯機は回せたか?」

脱衣室の外から吉良の声がした。
ナマエが何時まで経っても戻らないものだから、心配して様子を見に来たのだ。

「ナマエ…?」

待てども返答のない事を不審に思い、吉良は扉に手を掛けた。中では必死にディアボロが扉を押さえているのだが、男である吉良相手にはあまり意味はなく。あっさりと扉を開けられてしまった。
扉に背を預けていたナマエの体は重力に従い、倒れていく。そして、丁度良い位置にいた吉良の胸に収まった。

「………」
「………」

吉良とディアボロの目が合う。
腕の中の怯えたナマエ、そして全裸のディアボロ。やや違う方向へ、しかし粗方理解した吉良は自らのスタンド、キラークイーンを出して叫んだ。

「キラークイーン!第一の爆弾ッ!!」
「キ、キング・クリム…ぐばああぁぁぁッッ!!!」

ディアボロもスタンドを出したものの、あと一歩及ばず。爆弾のスイッチが吉良の手によって押され、ナマエの目の前でディアボロは爆散した。

「…もう大丈夫だ」

嗚咽を漏らすナマエを抱き締め、背中を優しく撫でてやりつつ、吉良はディアボロが立っていた場所を一瞥した。そして同時に思った。生き返ったらもう一度…いや、あと二度程爆破しよう、と。

その後向こう一週間、ディアボロはナマエに口を利いて貰えなかったという。


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ディアボロにガンガン攻めて頂きたかったお話。途中まで絶頂ボス。
でもこれって夢主からしたらトラウマを植え付けられただけだと思います。血縁者のものでもない、他人のぶら下がったブツを見たらそりゃもうトラウマものだと思うんですよね。これがビッチな女の子なら話は別なのですが、夢主は至って普通の女の子なので、こういうのは慣れてないと思います。褌や下着姿ならまだ慣れが生じてるので構わないのですが、股間丸見えはNGって感じです。

131006 (un)lucky sukebe
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