「わあ、キング・クリムゾンさんだ!かっこいい!」
「ナマエ、やめてやれ。困っている」
キャッキャッと幼子のように手を取ってはしゃぐナマエと、手を捕まれたままたじたじなキング・クリムゾン。正確には困っているのは本体のディアボロなのだが、本体が困っていれば、分身とも言えるスタンドも同じ様な反応になるのだから同じことだ。
「良いなあ。私もスタンドが発現すれば良いのに」
「ナマエはこのカーズと違ってスタンドが見えるだけまだマシだろう」
様子を窺うだけであったカーズも会話に参加する。カーズからはスタンドの像は見えておらず、まるでナマエが一人ではしゃいでいるように写っている。端から見れば怪しい人物だ。
「確かにな。見えているのだから切っ掛けが有ればすぐにでも発現するんじゃあないのか?」
「その切っ掛けが中々無いんですよね」
「襲ってやろうか?」
「遠慮しときます」
腕から刃を出そうとしたカーズにきっぱりとお断りの言葉を叩き付ける。彼が相手だとスタンドを発現するよりも体が真っ二つになる方が早そうだ。
「もっと楽な方法でスタンド発現する方法無いもんですかね。例えば寝ている間とかに」
「ナマエのその姿勢が発現しない最大の理由だと思うのだが」
「ひきニートの楽して金が欲しいと同じ理屈なのだ」
ディアボロとカーズにそう言われたって出来るだけ楽をしてスタンドを発現したいという思いは変わらない。現代っ子のナマエは面倒な事が大嫌いなのだ。
「ちなみに、ナマエはどんな能力のスタンドが欲しいのだ?」
何か有るだろう?とカーズ。
「うーん…。考えたことありませんでした。とりあえず役に立ちそうなら何でも」
「もうスタンドいらないんじゃあないのか、それ」
と、ディアボロも呆れる始末。
具体的なスタンド像もなく、スタンドが欲しい欲しいと繰り返すのは何の為なのか。それはナマエだけにしか分からないが、どうせろくな理由ではないのだろう。
「あ、でもメイドさんみたいに何でもやってくれるスタンドなら欲しいです!」
「………」
「………」
やっぱりろくでもなかった理由に、ついに突っ込むのすら億劫になったディアボロとカーズ。
「…いっその事ヴァレンタインに遺体を借りれば良いのではないか」
「―!!、その手があったか!!」
投げ遣りなカーズの提案を、ナマエは良策と捉えたらしい。善は急げとばかりにヴァレンタインの元へ許可を取りに向かうのだった。
絶対無理だろうな、という男二人の視線を背に受けて。
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何気無い日常の一コマが書きたかった話です。夢主がスタンドを見れる理由ですが、凄みです。
ちなみに、ヴァレンタインから遺体は借りれませんでした。
130927
スタンド発現作戦会議