洗濯物を畳む私と、それを畳に寝転んで眺めるDIOさん。彼に手伝うという気持ちは無いようだ。そればかりか折角綺麗に畳んだ洗濯物を弄くり倒し、挙げ句ぐちゃぐちゃにするという悪質極まりない行為にまで及ぶ始末。
触らないで下さいと何度注意しても返ってくるのは生返事だけ。そうしている内に私の方が諦めてしまい、DIOさんの好きにさせる事にした。
「ナマエ、お前の下着は随分子供っぽいのだな」
ディアボロさんのジャージを弄っていたと思えば、今度は私のパンツを掴み、何とも失礼な一言。余計なお世話である。
「しょうがないじゃないですか。お金無くてそんなのしか買えないんですから。ああ、引っ張らないで下さい伸びちゃう!」
「おまけに可愛いげの無い下着だ」
エキスパンダーと勘違いしているのかと言うくらい、パンツを横に伸ばして馬鹿にするDIOさんの手からそれを救いだす。確かにあまり可愛いげは無い。だがそれも仕方ない。3枚1,000円で近所のスーパーの衣類売り場で買ったものだからだ。
「私だって可愛い下着つけてみたいですよ…でも実際問題無理なものは無理ですから」
吉良さんの給料とディエゴくんの賞金だけでは生活費を工面するのが精一杯で、衣類や日用品はどうしても二の次になってしまう。
私も養って貰っている立場だし、月のお小遣いまで貰っているのだから文句は言えない。それに、下着を買う時などはお小遣いの他に臨時的にお金を貰っているので、これ以上贅沢を言う訳にもいかないのだ。
はあ、と無意識に溜め息が漏れた。本音を言えば上下セットで5,000円前後の下着が欲しい。可愛いのが欲しい。見られても恥ずかしくないのが欲しい。
「フム…。ならば、このDIOがお前に見合う下着を買ってやろう」
「えっ本当ですか!?でも、そんなお金が何処に有るんですか?」
「何、餌の女に頼めばいくらでも出してくれるだろう」
そう悪い顔で言うDIOさんに、それなら毎月そうやって家に金入れろよと思ったのは言うまでもない。
それから数日後。DIOさんとそんな会話をしたのも忘れかけていた頃に、DIOさんが
「約束のものだ」
と、何かが入った袋を差し出してきた。
―約束のもの。
その言葉で、ああ、と思い出す。冗談だと思っていたが、本当に下着を買ってきてくれたらしい。まさかDIOさん一人で下着屋に行ったのだろうか。だとしても彼なら許される気がした。
「本当に買ってきて下さったんですね。有難う御座います」
「約束は約束だからな」
「開けても良いですか?」
「構わん」
承諾を得た私は、期待に胸を膨らませつつ早速袋を開けてみた。そして固まった。
「…何ですかこれは」
「下着だが?」
何か問題でもあるのか?DIOさんはそう言いたげな顔をしている。しかし問題は五万とある。
下着と言っても、彼が買ってきたのは大人の下着だったのだ。これに問題が無くて何処に問題が有るというのか。
「どうして全部スケスケで布の面積が小さいんですか」
「問題あるまい」
「あと私ベビードールは頼んでないんですけど」
「私からの気持ちだ」
「これとか割れ目入ってるんですけど」
「涼しくて良いではないか」
「丸見えなんですけど」
「そうだな」
「普通の下着は…」
「無い」
「ただのセクハラじゃねえか!!」
流石に我慢出来なくて、私はDIOさんの顔面に袋を叩き付けた。
嗚呼、彼に少しでも期待した私が馬鹿だった。
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私からの気持ち(性的な意味で)
言わずもがなDIOは下心から大人の下着を夢主に渡してます。変態です。
夢主は下着を見られることに特に抵抗が無いみたいです。ひとつ屋根の下でオッサンと暮らしていたらそうなるのでしょう。
130921
下着の事情