「腹が減った」
ポツリと呟いたカーズの言葉にナマエは素早く反応した。
「吉良さんに『君の手料理を食べるくらいならゲロを啜ってる方がマシ』と言わしめた私の手料理で良ければ、何か作りましょうか?」
「自虐が切ないのだ…」
ナマエに少し同情するカーズだったが、しかし自分もナマエの手料理を食べるくらいならゲロを啜っているなと思った。
「どうします?」
「いや、ナマエは何もしなくて良い」
「そうですか、残念」
フライパンと包丁を構えたところでカーズが止めに入り、ナマエは肩を落とした。折角腕によりを掛けてご馳走を作ろうと思ったのに…。
「ナマエは動かず大人しくしていれば良いのだ」
「はあ、」
カーズに背を押され、畳の上に座らされる。目の前にカーズが陣取り、ナマエの肩を掴んだ。
「カーズさん?」
「俺は腹が減っている」
「?、それさっきも聞きましたよ」
「ならば話は早い」
―ナマエ、俺に食われろ。
耳元で聞こえた悪魔の囁きにナマエは目を見開いた。食われろって、まさか。
「じょっ、冗談ですよね、カーズさん!?まさか、私を取り込まないですよね!?」
「ナマエ、お前は実に美味そうだ」
必死に抵抗するナマエをいとも容易く押さえ付け、ペロリと舌舐めずり。畳に押さえ付けてやれば、怯えた目でカーズを見上げるだけだ。
晒け出された白い喉が何とも美しい。男のそれよりも突出していない喉骨にカーズは優しく噛み付いた。
「ひっ!カーズさ…やめ、て…!」
歯を立て、舐める。
それだけでも甘い刺激となってナマエに襲いかかる。性交渉もまだ無い身体には些か刺激が強すぎたのだ。全身が粟立ち、頭の中が真っ白に染まった。
「んんっ!」
「感じているのか?お前は俺に食べられているだけなのだぞ?」
「ち、ちが…」
「違うことはあるまい」
―ナマエは変態なのだなア。
カーズは下卑た笑みを浮かべ、ナマエの手を取り己の腹へと導いた。
「や、やめ…」
弱々しい制止も尽く無視され、ナマエの腕はカーズの腹に取り込まれていく。痛みは無いが、気持ちが悪い。今まで感じたことの無い、例えようの無い不快な感覚だ。尤も普通の人間ならばこんな経験はしないだろうから、そんな感覚は知らなくて当然だと言えるが。
「あぁぁ……」
「ナマエ、どうだ?このカーズの一部となる気分は?」
「や…、止めて、ください…」
こんな事するカーズさん嫌いです。
ポロポロと涙を溢し、弱々しく呟くナマエにカーズは怯んだ。軽い冗談のつもりが興が乗ってしまい、ここまでの事をしてしまったが、まさか泣いて嫌がるとは思いもしなかったのだ。
ズルリとナマエの腕を腹から引き抜き、彼女の頬を伝う涙を拭ってやる。それがせめてもの償いだった。
「何も泣くことは無いだろう…軽い冗談じゃあないか」
「こんな笑えない冗談止めてください…!私、本当に怖かったんですからね!もうしないって約束してください」
「分かった分かった。誓うから髪を引っ張るな」
あと、私変態じゃないですから!
そう付け足し、ナマエはもう一度カーズの長髪を引っ張った。
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物理的に頂かれそうになる夢主とお茶目な究極生命体。
物理的に頂かれそうになるネタ以外にもカーズが夢主の腹に手を突っ込み、子宮を触るという気色の悪いネタも考えておりました。途中まで書いて、(それ以上はいけない)と思ってやめたのですが。
そおうだッ!「変態」だよォ!
130920
いただきます