SS | ナノ
「ねえ、ナマエ…どうしてDioや大統領まで此処に居るわけ?僕は君だけだと思って此処に来たんだけど」
「遊園地に行くって言ったら皆来たいって言っちゃって」
「まあ大統領は百歩譲って良しとしよう。でも生ゴミはちょっと…」
「ななな生ゴミ!?」

ジョニィくんからのあんまりな言い種に、ディエゴくんはショックを受けて声を裏返らせた。

当初の予定では私とジョニィくんと徐倫ちゃんと、そして保護者としてジョナサンさんで遊園地に行く筈だった。それがあれよあれよと言う間にジョースター家の面々と、我が家の面々までもが全員参加になってしまって、大人数での遊園地決行となった訳である。
全員参加なので、勿論ジョニィくんと馬の合わないディエゴくんも来ているものだから、先程からジョニィくんの機嫌が頗る悪い。

「まあまあ。ジョニィ、良いじゃないか。遊園地は大人数の方が楽しめるよ」
「ジョナサンのそういう優しい所嫌いじゃあないけど、今だけはその優しさを捨てて欲しかったよ」

ブー垂れるジョニィくんにジョナサンさんは苦笑を浮かべた。

「ジョニィ・ジョースター。過去の確執は忘れて楽しもうじゃあないか」
「………」
「私を無視するとはいい度胸だな…」

ヴァレンタインさんを無視し、つーんとそっぽを向くジョニィくん。今の彼には何を言っても無駄みたいだ。ジャイロさんが居れば話は別だけど。

「ジョニィ、アンタいい加減機嫌直しなさいよ。折角の楽しい遊園地がパアになっちゃうじゃない」
「そうだぜ、ジョニィ。俺だって会いたくない野郎が居るが、もう頭の中で存在消してるし」

徐倫ちゃんとジョセフさんが何とかジョニィくんの機嫌を取ろうとしていたが、あまり効果は上げられず。その代わり、ジョセフさんの言葉に反応したカーズさんが釣れた。

「おい、それはまさかこのカーズの事ではあるまいな」
「何だァ?今何か聞こえた気がしたが、気のせいだよなあ〜」
「ヌウウ…ジョジョ貴様ァ…」

ジョースター家と荒木荘の面々はまるで水と油だ。ちらとでもお互いの顔が見えればこんな風に反発し合うんだから、手に負えない。もうちょっと仲良く出来ないのかとも思うが、それこそ埋められ無い程の確執があるのは知っているし、赤の他人の私が口を挟めるような内容でもない。よって、私は傍観者を決め込むしかないのだ。
折角遊園地に来たってのにこれじゃあ先が思いやられるが。

「はあぁ…喧嘩しだしたら切りが無いんだから…」
「なあナマエ〜、一緒にアレ乗ろう」

チョイチョイと服の裾を引っ張られた。誰かと思えば定助くんで、コーヒーカップのアトラクションを指差してにっこり笑顔を浮かべている。

「そうだね、皆は放っておいて乗ろ乗ろ」


attraction1:コーヒーカップでくるくる

「別にあんたは来なくて良かったんだけど。オレ、ナマエと乗りたかっただけだから」
「馬鹿言え。ナマエと貴様のような何処ぞの馬の骨とも分からん男を二人に出来るか」
「それならあんたがオレが何者か教えてくれ」
「俺が知るか」

定助とナマエの二人がコーヒーカップに乗ろうかと話し合っているところへ、ディアボロも二人(きりにするの)が心配だからと着いてきた。それ自体は別に良かったのだが、定助とディアボロも険悪ムードを醸し出すものだから、あの場から離れた意味がまるでない。

「はいはい、喧嘩はやめやめ!ほら、順番が来ましたよ」

ディアボロをまずコーヒーカップに押し込み、続いて定助とナマエも順に乗り込む。少し狭い。

「オレェ、これ初めてなんだよなァ」

定助がキラキラと輝いた目をして目の前のハンドルを握った。
刹那、ナマエの脳裏に…嫌な予感。

アトラクションが始まってすぐにコーヒーカップはどんどん速度を上げて回りだしていく。回しているのは勿論定助だ。そのハンドル捌きには迷いがない。

「じょ、定助くん、もうちょっとゆっくり…」
「ウオォォ!!なんだこれ!楽しいなァ〜!!」
「楽しい訳あるか!!オイ東方定助ッ、貴様いい加減に…ッ!」

グルグルグル。
どんどん速度を上げていく。他のコーヒーカップとは比べ物にならないスピードで回る回る。景色が最早色の塊にしか見えない。

「キャアァァッ!!定助くん!スピード落としてェッ!!」
「もうヤメロオォォ!!吐く!このままだと俺が吐く!!!」
「ぎゃああぁぁ!!ディアボロさんお願いですから此方向かないで下さいよ!!?」
「エェェ〜?」

「ごめん、よく聞こえなかった」とへらりと笑いつつ、だが定助の手は止まらない。よく見ると、ソフト&ウェットでハンドルを回しているではないか!本気である。

次の瞬間、断末魔の叫びと共にディアボロがコーヒーカップの外へ投げ出されてしまった。

「いやぁぁぁ!!ディアボロさんが遠心力で飛ばされたァァ!!」
「投げ飛ばされる事なんて有るんだなァ!」
「呑気に言ってる場合じゃないよ!大丈夫ですかディアボロさん!生きてますかーッ!?」

・・・

「死ぬかと思った…」

アトラクションの側に備え付けられていたベンチに座り、沈んだ声でディアボロは言った。
奇跡的に死ななかったものの、それと同等程度の恐怖は味わったらしい。彼の心には多大なトラウマが植え付けられてしまった。
ナマエがゆっくり背中を擦ってやれば、ディアボロは震えた声で礼を言った。
しかし、此処には約一人空気を読まない人間が。

「なァ、もう一回乗る?」
「ふざけるな」

悪気はないであろう定助にディアボロはピシャリと返した。


attraction2:売店のアイス食べ歩きツアー

気分の悪いディアボロは定助が面倒を見てくれるという事で話が纏まり、ナマエは彼らと別行動を取ることになった。
そんな訳で、今は途中で合流した徐倫、仗助、吉良の三人と行動を共にしている。
しかし、何かアトラクションを回るでもなく、四人は園内の売店でアイス選びの真っ最中。ナマエがあまりにも物欲しそうな顔をするものだから、吉良が「好きなのを買って良いよ。勿論君達も」と申し出たのだ。

「どれにしようかな…ストロベリーも捨てがたいし、バニラも良いし…」

目をキラキラ輝かせて迷うナマエに徐倫は笑いながら助け船を出した。

「なら、あたしがストロベリーを買うからナマエがバニラ買いなさいよ。それで、半分こしましょ?」
「え、でも良いの徐倫ちゃん?好きなの買わなくて」
「いーのいーの、あたしも丁度食べ比べしたかったから」
「じゃあ、そうするね!」

ナマエはバニラアイスを(生クリームと果物が乗った豪華なやつだ)、そして徐倫はストロベリーアイスを買って貰い、お互いにスプーンで食べさせあう。ちなみに仗助はチョコアイスを選択した。

「はい、ナマエ。あーんして」
「あーん。…ん!美味しい!徐倫ちゃんも。はい、あーん」
「…うん、美味しいわね」
「仗助くんも一口どお?」
「いや、俺は良いッスよ(間接キスになっちまうからなあ〜)」

そんな風に若者三人でアイスを食べていると、ナマエは不意に自分に向けられる視線を感じた。視線を辿っていくと、何とその先に居たのは吉良。
…あ、もしかして吉良さんもアイスを食べたかったのだろうか。ナマエの脳はその推測を弾き出した。ならば、話は早い。

「吉良さん、あーんして下さい」
「いや、私は…」
「そう遠慮なさらず。これ、吉良さんが買ってくださったんですから。はい、あーん」

スプーンに掬ったアイスを吉良の口許まで持っていく。ただアイスを食べる様が可愛らしかったからナマエを見ていただけだったのだが、とんだ事になってしまった。吉良は暫し視線をさ迷わせた後、恥ずかしそうにアイスをぱくり。「甘いな…」呟くような声で感想を述べた。それを聞いたナマエは可笑しそうにクスクスと笑った。

「…あ、ナマエ。頬っぺに生クリーム付いてるッスよ。まったく、ガキっぽいなあ〜」
「えっうそ!?」

何処何処?と慌てて右頬を触るナマエ。仗助はクスリと笑って「こっち」と左頬に触れた。

「ほら、取れた」

仗助はナマエの頬に付いていた生クリームを指で拭い、それを舐めとる。見目が良いだけにその所作は様になっていた。しかし、やられた方は些か恥ずかしいらしく。これだからイケメンは!とナマエは心中で悪態(?)をついた。

「仗助、アンタたまにはやるじゃない!今のまるでカップルみたいだったわ!」

徐倫のこの発言に慌てたのは仗助とナマエの二人だ。

「ば…っ徐倫!カップルって何言ってんだ!」
「そうだよ、徐倫ちゃん!それは仗助くんが嫌だと思う!」
「…あ、いや、俺は別に…」
「えっ」

なんだその反応は!仗助くんが恥ずかしそうにしていたら、その気のない此方まで照れてしまうじゃないか!
ナマエはこの場から走って逃げ出したい衝動に刈られた。恥ずかしい、兎に角恥ずかしい。

「え、あ!俺、そんなつもりじゃあ無かった、って言うか…!あ、いや、でもナマエが嫌って訳じゃあねぇんスよ!?ほんと!」
「う、うん…私気にしてないから大丈夫だよ!」
「エェー?良いじゃない!あたしはお似合いだと思うけど?」

ついに仗助の顔を真正面から見れなくなった。今、彼の顔を見ようものなら顔から火を吹くに違いない。

ぎゃあぎゃあと騒ぐ煩い若者たちとは正反対に、今まで静観していた吉良が仗助の肩にポンと手を置いた。

「東方、仗助…ちょっと面を貸して貰おうか…」
「はぁぁ!?俺、何もしてねぇだろ!」
「良いから、な?なに、心配しなくともすぐに済ませるよ」
「何を!?」

仗助の悲痛な叫びを無視し、吉良は仗助を物陰へと引き摺っていった。あの細身の体の何処にそんな力が有るのかは謎である。

「…アー、あたしいらない事言っちゃったみたいね」
「やっぱり、保護者からすると娘が誰かの彼氏になるのって嫌な事なの?私は娘に彼氏が出来ても良いけどなあ。やっぱり男の人と考え方が違うのかな」
「いや、あれはそういうんじゃないわ…どっちかって言うと…」
「言うと?」

ナマエは首をかしげる。

「…ううん、何でもない。それより、アイス食べなきゃ溶けるわよ」
「あ、ほんとだ」


attraction3:ゲーセンで決着を

ナマエは吉良達とはぐれてしまい、仕方なく一人で遊園地内をブラブラとさ迷っていた。すると、偶々通り掛かったゲームセンターに黒山の人だかりが見えた。何かイベントでもしているのだろうか。

「…ん?あれってプッチさん?」

人混みの最前列に居る見知った姿、あれは間違いなくプッチだ。
ナマエはプッチの名を叫び、人混みを掻き分けていく。プッチの方もすぐにナマエに気付き、人混みに揉まれている彼女を救出した。

「ふう…潰れちゃうかと思いました…。それで、何してるんですか?」
「見ての通りだよ。エアホッケー対決だ」
「エアホッケー対決?」

詳しく話を聞けばどうやらDIO、カーズペアとジョナサン、ジョセフペアでエアホッケー対決をしていたらしい。今のところスコアは1-1。イーブン。

「ナマエ!良いところに来た。お前は勿論此方を応援するだろう!?」
「ええ…?それは…」
「ハァ?何言ってんの?ナマエは勿論俺らの方に決まってるだろ!なあ、ナマエ?」
「ええと…うーん」

DIOとジョセフに口々に「此方を応援しろ」なんて言われたって、当のナマエにはどちらかを贔屓する気はない。どちらにも勝って貰いたいし、負けて欲しくもない。勝敗を決して欲しくないだなんて、何とも矛盾した感情ではあったが、それがナマエの本心だった。

「…私は両方の味方ですよ」
「このカーズを裏切る気かナマエ!!」

カーズの怒号に、ナマエは縮こまった。

「いや、裏切るって…」
「カーズ。強要はいけないよ。ナマエがこう言ってるんだし、両方応援して貰えば良いじゃあないか」
「DIO、安心して。私はDIOだけの味方だからね」

ジョナサンが紳士的にカーズを宥めている時であれすかさず割って入るプッチは歪みなかった。あのDIOですら「う、うむ…」と反応に困っていたほどだ。ちょっぴり愛が重い。

エアホッケー対決が再開されてすぐに、ナマエはこの人だかりの意味を理解することとなる。物凄く派手なのだ。肉体派の四人が揃うと。
波紋、スタンド、流法を禁止にしているにも関わらず、まず円盤が見えない。気付けばゴールしている。そんな状況だ。プッチだけが唯一その速さに着いていけているらしく、時折「今のDIOの攻め方は甘かった」だの「その跳ねさせ方は不味い!」だのとDIOについての独り言だけをブツブツ言ってナマエを怖がらせていた。

結果は4-4で引き分け。四人はそれぞれ悔しそうにしていたが、ナマエからするとこの結果がベストであった。どちらのチームも勝ちも負けもないのだから、ナマエが望んだ通りだ。

「次はUFOキャッチャーでもするか。ナマエ、ぬいぐるみ取ってやるよ。どれが欲しい?」

気を取り直したらしいジョセフに聞かれたナマエは「じゃあ、この子が良いです」と犬のぬいぐるみを指差した。

「よーし、オニイサンに任せなさァい!」
「おい、ジョジョ。ちょっと待て。このカーズとどちらが多くぬいぐるみをゲット出来るか勝負しようではないか」
「ふうん、まだ諦めてなかったワケ!良いぜ、だが途中で逃げ出しても知らねぇからな!」
「フン、それは此方の台詞だ」

ジョセフとカーズの間にバチバチと火花が散っている。第2ラウンドの火蓋は此処に切って落とされた。
て言うか遊園地のアトラクションで遊べよ。ナマエは内心突っ込みたかったが、心の中だけに止めておいた。今更言ったところで聞く二人ではなかったから。

「…ねえナマエ、」

後ろからトントン、と肩を叩かれ振り返る。ジョナサンが居た。

「どうかしました?」
「僕、生まれてこのかたプリクラを撮ったこと無いんだけど、一緒に撮ってくれないかな?一人だと恥ずかしいし、君はこういうの慣れてそうだから。実は以前から興味があってね…」
「(可愛いなこの人…)」

恥ずかしそうにしているジョナサンにナマエは二つ返事で快諾し、二人でプリクラを撮ることに。
ジョナサンは撮影中も恥ずかしそうにしていたが(「こういう場合はピースで良いのかな?」)、途中で乱入して来たDIOの撮影慣れ感は半端なかった(「センターはこのDIOだッ!!」)。ほぼDIOの独断場で、出来上がった写真を見てはナマエとジョナサンは顔を見合わせて肩を竦めるしか出来なかった。だって、プリクラにはほぼDIOしか写っていなかったから。


attraction4:目移りしちゃう土産物屋

ゲームセンターを後にしたナマエは、承太郎とヴァレンタインと共に土産物売り場にやって来た。遊園地オリジナルのキャラクターグッズが多く並んでいる。これが意外と可愛い。ナマエは一目見てこのキャラクターが気に入った。

「ヴァレンタインさん、ヴァレンタインさん。このキャラクター可愛くないですか?」
「そうか?ナマエの方が遥かにカワイイがな」

その一言にナマエはピシリと固まった。さらっと何を言ってるんだこの人は。

「ほんっと!ヴァレンタインさんってお上手ですよね。承太郎さんはどう思…」

言い掛けて止まった。
あの承太郎がイルカの抱き枕を握り締めてじっと眺めていたからだ。海洋学者という職業柄、やはり気になってしまうのだろうか。だが、相手は195cmもある大男。お世辞にも似合っているとは言えない。

「承太郎さん、それ」
「…いや、どうにも海洋生物には目がなくてな…」

しかしこの成りで買うのもな、と残念そうに承太郎はイルカの抱き枕を棚に戻した。物欲よりも恥が勝ったらしい。

その一連の流れを見ていたヴァレンタインは、承太郎が直したイルカの抱き枕をひょいと持ち上げて一言言い放った。

「ならば私が買おう」

これには承太郎も驚いた。何がどうなってヴァレンタインが買うという結末に辿り着いたと言うのか。

「…何?」
「プレゼントだよ、空条承太郎」
「プレゼントだと…?てめぇにプレゼントされる覚えはないが…」
「なに、日頃の感謝を込めて、だ。いつも君の娘にナマエが世話になっているからな」
「…チッ」

承太郎は舌打ちを一つ打ち、帽子の鍔をクイッと下げた。だが、帽子の鍔で隠しきれなかった彼の口元が嬉しそうに弧を描いていたのをナマエは見逃さなかった。


attraction5:観覧車から夕陽を望む

最後はやはり定番の観覧車という事で、ジョニィと観覧車にやって来たナマエ。この時間帯ならば丁度地平線に沈み行く夕陽が拝める頃合いだろう。

「ナマエが重いから観覧車動かなくなっちゃうかもね」
「私より重い癖によく言うよ。それじゃあジョニィくんが乗るとゴンドラが落ちちゃうじゃない」

二人はお互いに好き勝手に言い合ってから顔を見合わせて噴き出した。暫しの間、二人の間に笑いが巻き起こる。他の客が不思議な顔をして二人を遠巻きに眺めていったが、気にもならなかった。

「…あ、順番が来たみたいだ。乗ろうか」
「うん。車椅子押すね」

この遊園地はバリアフリーが行き届いているらしく、車椅子のままでも観覧車に乗ることが可能だ。係員が観覧車を一旦停止させ、スロープを持ってきてくれる。
車椅子を押し、ゴンドラに乗り込もうとした瞬間…「待ってくれ」二人の背後から制止の声が掛かった。ナマエとジョニィは体をびくつかせて一瞬顔を見合わせる。

「…って、あれ?ディエゴくん?」
「ハァ!?Dio!?」

声の主はディエゴだった。余程急いで来たのか、息を切らしもって二人の方へズンズンと歩み寄ってくる。ジョニィが顔を顰めた。

「何でお前が来るんだよ!?呼んでないんだけど!!消されたいの!?今此処で爪弾撃ち込んでも良いんだけど!?」
「まあ落ち着けよジョースター君…。俺は君がナマエに手を出さないか心配になって来ただけだ」
「馬鹿言うなよ、友達に手を出すほど餓えてない!それに、ナマエにそんなに魅力無いし!」

ジョニィくん後で覚えてろ。
ナマエは友人に軽い殺意を覚えた。

「あまり此処で時間を取ると迷惑になる。乗るぞ」
「うわ粗大ごみが喋った」
「君、さっきから人の心に傷を作って楽しいか」
「すっごくね!」
「ジョニィくん、その辺に…(そろそろディエゴくんが可哀想になってきた…)」

自然な動作でナマエの手をやんわりと車椅子から離し、自ずからジョニィの車椅子を押すディエゴ(ジョニィのせいで心なしか元気がない)。必死に抵抗を示すジョニィを無視し、観覧車にさっさと乗り込んでしまった。ナマエも乗り遅れないようにと慌ててそれに続く。

「おお、上昇し始めたな」
「見りゃ分かるよ」
「馬からの眺めも良いが、たまには観覧車からの眺めってのも有りだな」
「同感」

ゆっくりと上昇し始めた観覧車の中でナマエは「この二人って何だかんだで仲良いよなあ…」と密かに思った。

・・・

「わあぁ…見てジョニィくん!凄く綺麗!」
「本当だ…」

三人を乗せたゴンドラはまもなく最上部に到達しようとしていた。
窓の外にはオレンジ色に染め上げられた街並みが広がっている。

「…またこうして皆で来れると良いね」
「その時は怪奇!トカゲ人間は抜きで」
「おいそのタイトルっぽいのってまさか俺か」


attraction?:ブランドー家とお茶

此処はとあるカフェテラス。
ナマエは遊園地には参加出来なかったブランドー家の皆とお茶をしにやって来ていた。

「…そんな訳で、遊園地に行って来てね。はい、これお土産。DIOさんが息子たちに渡してくれって。面と向かって渡すのは照れ臭かったんだろうね」

DIOから預かってきたお土産を彼の息子たちに手渡すと、何とも言えない顔を浮かべてくれた。流石、腹違いとは言え兄弟と言ったところか。嫌そうな表情までよく似ている。

「小汚いお土産は置いておいて…。ナマエ、今度は僕らと動物園か水族館にでも行きませんか?…いや、普段から動物園に居るようなものですし、やはり水族館にしましょう。ああ、勿論パードレは抜きで。ね、貴方達もそれで良いでしょう?」

サラッと毒を吐きつつ、ジョルノが弟三人にも意見を求めた。ナマエに聞かない辺り、行くのは決定事項らしい。こんな風にちょっと強引な所はDIOに似ているな、とナマエは思った。嫌いな訳では無かったけれど。

「そうだな、俺も兄貴の意見に賛成。親父は絶対要らねえ」とヴェルサス。
「俺は水族館でも何でもナマエと行けるなら良い」とリキエル。
「今から楽しみだな。ナマエ、ちゃんと予定開けておけよ」とウンガロ。

全員賛成意見のようだ。そしてここでもDIOの蔑ろっぷりと言ったら。少し哀れに思えてくる程である。父親としての威厳がまるで無い。

「勿論旅費諸々は此方が持ちますよ。僕らが無理矢理誘ったようなものですから」
「でも、良いのかな…」
「俺もナマエと行きたいし、行こうぜ。な、良いだろ?」
「うーん、ウンガロさんがそう言うなら、行こうかな…」

五人で行ったらきっと楽しいだろうし。
そういう訳で、水族館行きも決定になりました。


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その後、呼ばれなくて落ち込むDIOの姿が!

どうせ絡ませるならあんまり接点が無いキャラ同士を喋らせてみたいなあ、と思って書かせて頂いたのですが……ねえ、これ誰得???書いた本人だけが超楽しんでる結果になりました。個人的には承太郎と大統領のペアが気に入ってます。

ジョースター家の年齢がバラバラでどういうこっちゃ状態ですが、そこはさらっと流していただけると幸いです。
ジョースター家は初めて書くキャラばかりなので皆似非ですみません…><

て言うか、あれ?遊園地行った設定なのに全然満喫してなくない?
- ナノ -