▼ しばし、別れ (1/7)
「ヴァンパイア……ハンター…?」
レイム達がギルドに加入してから数日後のこと、どうしても伝えたいことがあるとロラン達はエリィに呼び出されていた。
内容は、ヴァンパイアハンターと名乗る男が先日別地方のギルドを訪れたこと。
「……ええ、そいつは世界中を周ってると聞くわ。念のため、気をつけてね」
「………」
いくらレイムが半ヴァンパイアといえど、相手は見境なく襲ってくるかもしれない。
エリィの気遣いに、レイムは俯きながらもこくりと頷いた。
「さてと、話は変わるわ。
……この依頼、受けてくれるわよね?」
エリィは懐から一枚の依頼書を取り出す。
そこには今は見慣れた魔物の絵と、畑を荒らしにくる魔物を倒してくれという依頼人の文字が書かれていた。
ロランはその紙を受け取り、にやりと笑う。
「当たり前だぜ、エリィさん!」
「行き先は……タニの村か。うん、サディラから歩きでも行けるね」
ロランの手元の紙を覗き込みながら、ルースは呟く。
世界地図を愛読しているらしく、世界の地理を頭に叩き込んでいたルースは、もはやパーティーの地図の変わりだった。
ロランは加入当時よりも多くなったメンバーの方へ向き直る。
「じゃあ、いくぞみんな!」
リーダーの掛け声に、メンバーは一斉に声を上げた。
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