Novel
一期一会

彼女の歌はすごい。俺の心にまで響く位素晴らしい歌だ。
でもどうしてだろう。こんなにも哀しくなる…

俺は部活帰りに歌を唄っていた。
歌は好きだ。海沿いを歩き、夕日の先の地平線に向かい唄った。
何時もの様に唄っていた。だか今日は違った…

「…ラ〜ラ〜……」

優しく甘い歌声が聞こえる。
とても心が清らかになる。
俺は何故かその歌声が聞こえる方に走った。
彼女の声を聞きたい。もっと近くで聞きたい。
ただその思いで走ってる。

歌声の元は一面のコスモスが咲き誇る、草原そんな中に一人の少女がまるで鳥に語りかけるように唄っていた。

「貴方は誰?」

彼女は笑みを浮かべながら言った。
とても見た目可愛くて彼女にしたい。
何てそんな事は心の中にそっと入れといた。

「俺は哲籠…俺も唄うこと好きだよ。」

俺は彼女にアピールするのか唄うこと好きだよと言ってしまった。

すると彼女は

「そうなんですか!?私も唄うこと大好きなんです!私の名前は鈴って言います!よろしくね!」

鈴は俺の手をギュッと握り目を輝きながら言った。
とても手が暖かくほのかに甘い香りがする。

でも彼女の歌はとても悲しい感じだった。
でもこんなにも元気だからきっと大丈夫だろと思っていた…





俺は部活帰りいつも草原へ行き鈴と唄ったり、喋ったりした。

だがこんな時間はいつまでも続かなかった…

ある日草原へ来たらまた鈴は唄っていたが最初に会った時みたいに哀しい感じだった。
そしてよく見たら鈴は泣いてた。
激しく泣いてる訳ではなくスッーと泣いてた。

「鈴ー」

俺が呼んだ時急いで作り笑いしてた。
まるで何かを隠すように。

「あっ哲君!どっどうした?何かおかしいよ?」

鈴の方がおかしいよ。
だってめっちゃ焦ってるよ。
俺は鈴に今の気持ちを言った。

「鈴。お前何かを隠してるだろ?最初の頃から…唄を聴いてた時何か哀しかった…何かあったのか?さっきは泣いてたし…」

俺は鈴にハンカチを渡しながら言った。
鈴はやっぱりまだ作り笑いをしていた。

「なっ何言ってるの?いつもと変わらないよ〜」

鈴はとても哀しそう。俺は我慢の限界で鈴をギュッと抱き締めた。

「鈴。もうやめろ。そんな作り笑いしてるとな俺哀しい。何かあったら相談しろって言っただろう?何でそんな事するんだ?俺も嫌だ…」

俺は抱き締めながら鈴に言ったら、鈴は泣き始めた。
いつもより激しく…

「ウワァァァァン!!だって…だって…もうすぐ引っ越すだよ。哲君にはいずれ言わなきゃいけないのは分かってた。でも…でも言えないよ…だって…だって…」

鈴は泣きながら説明してくれた。
引っ越すから。鈴は俺に言えなくてずっと悲しそうだったんだ…俺が哀しませてたから。
俺は鈴にそっと言った。

「鈴。引っ越しても文通しよう。離れても大丈夫だよ。それに何で最初に言ってくれなかっただよ…よけい…に哀しむだろ…」

俺は鈴の涙をもらい泣きした。
だって一番大切な人がいなくなるなんて嫌だから…
それに鈴の事が初めてあった時から好きだったから…

「哲君が泣いてる…プッ…何かおかしいよ」

鈴は普通の笑顔に戻った。
鈴はギュッと手を握ってくれた。

「哲君?私もう大丈夫だよ。哲君の言ったとうり、離れても大丈夫だね!ありがとう哲籠君」

夕日に照らされる彼女がとても綺麗だ。

そして握ってる手はまるであの夕日みたいに暖かった。

人と出会いは奇跡だ。
鈴と出会いは奇跡だ。
一生に一度の出会いだ。


一週間後

「今日から転校生来るらしいぜ!噂だと美人だって」

俺の友人がそんな事を言ってた時にチャイムの鐘がなった。
美人か…鈴だったらって考えてしまった…

「おーい。今日から新しく転入してきた子がいる。
さっ入ってくれ。」

先生が呼んだ時、俺は驚いてしまった…

入ってきたのはコスモスの草原で出会ったあの少女だった。

「こんにちわ初めまして莉宮鈴です!よろしくお願いします!」

なんと鈴でおまけに

「じゃ莉宮お前は篠原の隣だ。」

鈴は俺の隣でボソッと言った。

「これからもよろしくね!」

これこそ一期一会。俺は笑顔でよろしいって言った。

end



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