Novel
一番星に願いを

今日は森の中で泊まる事になった、アタシ達。
寝てる時に襲われるのでは?って思ったけど、トパーズさんが魔法の壁を作ってくれたから安心して寝れる。


「よーし!夕食の準備するか。ミシェル手伝ってくれ」


グラスさんは、ミシェルさんと一緒に夕食の準備をしてた。ルミネさんとソフィーさん、ゼロさんは一緒に果物を探しに行った。


「じゃあルミナスは…うーん…薪や小枝を持ってきてくれないか?」


「分かりました!すぐに拾って来ますね!」


ミシェルさんに頼まれたので、アタシはドラゴン姿になり薪を探しに行った。


「薪や小枝…うん?アレは…」


小枝を探してる途中、一人の少年が何かをしている。
アタシは木々の隙間からその少年を見てた。


「何でだよ!何で!できないだよ!クソ…悔しい」


水色の髪の毛、耳の鱗。あれは竜族の子供。見ていたら、アタシはなぜか胸が痛くなってきた。

自分と似てる。多分あの子は竜になる練習をしている。
アタシも竜になるために、日々努力した。色んな人に手伝ってもらった。
でもアタシは肝心な事を忘れていた。

何の為に竜になるのか。何故竜になるのか。アタシは竜になりたい理由はホープさん達の力になりたくて、竜になりたい。
そして竜の気持ちを分かりたかったから。


「貴方は何で竜になりたいの?」


「だ…誰!ドラゴン…」


アタシはフワフワと飛びながら、少年の元へ行った。
彼の力になりたい。そんな思いが沸き上がった。


「あっゴメンね。アタシ人間だよ」


「…お前竜族か。僕は竜族の王子だからな!お前より遥か強いからな!」


少年はアタシに指を指して、睨んでいる。生意気だな…って思ったが、その少年は少し指先が震えている。


「じゃあ闘いましょ。貴方が竜族であるなら、正々堂々と竜対竜で」


「い…良いぞ!」


アタシは力を貯めて、精神を集中させた。そしでさっきの竜の姿よりも大きくなる。
少年は腰を抜かして、アタシを見ている。威嚇もしてないのに。


「さぁ貴方も変身しなさい」


「…僕は…僕は進化できない。お前の勝ちだ。笑えよ。王子なのに進化できない…家族の中でも進化できない。出来損ないだ」


「…何を言ってるの。貴方は進化できる。だって、貴方は隠れて努力をしている。いつかは努力は報われるのよ。きっと進化できるよ」


竜姿から人間に戻し、アタシは彼の元へ行った。彼はマフラーで顔を隠しているが、微かに泣いている。
王子…確かにプレッシャーなのがあって焦る。アタシもお嬢様だったからその気持ちは分かる。


「泣いてても何も変わらない。ほら、元気だして。チョコあげるから」


「ち…チョコ!?食べる!」


少年は先程まで暗い表情をしてたが、チョコを手渡した瞬間笑顔に戻っていた。


「そう言えば名前を言ってなかったね。アタシはルミナス。ヨロシクね」


「僕はウィル。ヨロシクな。ルミナスはスゴいよな、僕も頑張らないと」


「ウィル君…その気持ちが大事よ!」


ウィル君はチョコを美味しそうに食べながら、マフラーをギュッと握っている。
アタシは夕日に浮かぶ、一番星を見ていた。ウィル君が絶対に竜になれるのを期待しながら。


「おーい。ルミナス…どこにいるだ」


「ウィルさん、どこにいるのですか?」


遠くから自分達を呼んでる声が聞こえた。アタシはハッとして、急いで小枝を拾い上げ聞こえた声の方へ向かった。


「ゴメン、そろそろ戻んないと。ウィル君頑張ってね。そしてまた会おうね」


「ああ!今度会ったら、闘えよ」


ウィル君との別れ際に微かにドラゴン姿が見えた。
気のせいかともう一度ウィル君を見たら、やっぱり人間の姿だ。


この世界には自分と似てる人がいるとは…アタシは一番星の隣にある星を見て、グラスさんの元へ戻った。


end






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