とくべつ扱い | ナノ
 



最近親友がおかしい。
元々どっかおかしかったけど最近特におかしい。

「はいどうぞ。みかん剥けたよ」

「……」

「あ、白いの取れてなかった。ちょっと待ってて」

「いやそれぐらい食うから。つかいつも取ってねぇし」

「そうなんだ。でも口に残ってもごもごするといけないからやっぱ取るね」


こいつはどんな心配してんだ。
元々俺には面倒見良いっつか過保護だったけど最近更に酷くなってる。
これはもう過保護ってレベルじゃねぇって。


「お前さぁ…俺を女か何かと間違えてねぇか?」

ここ最近のコイツ奇行を思い出す。
登下校の時は何故か鞄を持ちたがったり車道側を歩いてたら然り気無く入れ替わろうとしたり下駄箱で靴を履き替えようとしたら靴用意してくれたり…おかしいだろ。
どれも男が女にするもんだろ。

「え?お前男だろ」

何で真顔で答えるんだよ。
何でそんな心配そうに見てくるんだよクソッ!
睨むように向かい側に座る親友を見ていると口許にみかんを一粒差し出された。

「俺はね、お前を女扱いしてるんじゃないよ」

「じゃあ何扱いしてるんだよ」

「んー…特別扱い。お前だから世話を焼きたい、危険から守りたいし大切にしたいの」

のほほんと笑いながら何て事ないように放たれた言葉は明らかに親友に言う言葉じゃねぇだろ。
コイツ、自分の気持ちに絶対気付いてねぇな。


「……じゃあ勝手にしろ」

「うん。勝手にするよ」

意味分かんねぇ。
自分の気持ちにも気付いてねぇバカの言葉に喜んでる自分が意味分かんねぇ。
コイツに世話焼いてもらえるのとか守ってもらえるのが嬉しいんじゃなくてただ、

「…顔、赤くない?」

「気の所為だバカ」


ただ、コイツの特別になれたのが嬉しい。



2012/7/30
在り来たりな話ですがリハビリがてらに。短編を書いたの凄く久し振りですね。


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