思い出は現実に | ナノ
 



これってデジャブ?


中学校を卒業して僕はそのまま高校に上がった。
エスカレーター式だけど周りが皆知り合いってわけじゃない。
中学に比べて学校の規模が大きくなったから知ってる子なんて全体のごく僅か。
ほとんど皆知らない子達だ。
いや知ってる知らないとか関係なくこんな事しちゃ駄目だよっ!


「友達が頼んでんだからよー、聞いてくれんだろー?」

そう言ってくるのは初対面金髪の集団。
入学して早々同い年の不良達に絡まれるなんて。
校舎裏の自販機に来たのが間違いだったのかな?
僕が何したんだよぉっ。
そりゃ中学校から背があんまり伸びてないからチビだしパシリっぽい見た目かもしれないけど…


「あ゙ー、ダリィ?さっさと金寄越せや!」

「ひっ!」

うわぁぁあ!
もう殴るなんてちょっと短気過ぎだよぉっ!
痛いんだろうなぁっ。
ぎゅっと目を瞑って拳を待った。
でも…あれ?来ないよ?


「あんた、何でそう絡まれるわけ?」

「えっ…?」

なかなか衝撃が来なくてその代わりよく通る声が耳に届いた。
恐る恐る瞼を開くと視界で綺麗なピンクの髪が視界で揺れてる。
嘘だ。何で、ここにっ…


「ちょっと待ってて」

ただ一言告げて彼はあの時みたいに華麗に不良達を倒していった。
もう僕と彼以外立ってない。
急な展開に呆気に取られていると手を掴まれて歩き始めた。


「なっ、何でここにっ…」

「制服見て分かんねぇの?ここの生徒だから」

僕が言いたいのはそういうのじゃなくて!
修学旅行先が彼の地元だったはずでっ…
こんな形で再会するなんて。


「また絡まれてるなんて鈍臭すぎ」

「う…ごめんなさい…」

ちょっとトゲがある言い方なのに繋いでくれてる手は優しくて安心する。
また助けてもらっちゃった。
あの時以上にドキドキしてるよ。
だって凄く綺麗で格好良くなってるからっ。


「あの約束、覚えてる?」

「えっ…うん」

「じゃあ聞いて?」

その言葉に慌てて何回も頷く。
忘れらないよ。
あの約束も、あの時のキスも。
忘れられなかった。
手を繋いだまま向き直った彼は見上げる。
やっぱり綺麗で緊張してきたっ。


「あ、あの…お名前は?」

「俺の名前は…──」




2011/12/12
『修学旅行での逢い引き』の続編です。
攻めの子が気合いと根性で受けの子の学校を探して晴れて再会しました。


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