かくれんぼの行く末は? | ナノ
 



「おらぁぁあっ!!さっさと出てこいやぁぁあっ!!」

最近の日課。必ず放課後に僕に会いに来る不良から逃げる事。
今日は理科室の机の下で震えてる。
何で僕がこんな事に…!


僕は目立たないありふれたオタクです。
中学の頃に仲が良かった子の勧めでエロゲとかギャルゲーにハマッた前髪が長くてひょろ長いもやし体型な普通のオタクなんです。
高校に入ってからも目立たず地味に生活していたけど何故か隣の商業高校の彼の目に留まってしまった。
ある日、帰ろうとしたら校舎裏に連れ込まれてオタク狩りされると身構えたのに放たれた言葉は意外なものだった。

「お前、俺と付き合えや」

一瞬頭がフリーズした。
確かに放課後の校舎裏って王道シチュエーションな告白だけどっ。
言葉こそシンプルだけどあの時の彼は凄むように睨んでいて今にも殴りかかってきそうで本当に怖かった…!
だから逃げ出してしまったんだけどそれがいけなかった。
あの日以来、僕はこうして彼から逃げ回るはめになってしまった。


「どうかっ、どうか見つかりませんように…!」

一体僕が何したって言うんだっ!
彼に好かれるような事なんて何1つしてないのにこんなっ…
何よりも彼の顔が凄く怖いし言葉遣いも荒々しくて怖い!全てが怖い!中学の時の女子を思い出したけどあれよりも怖い怖い怖い!
カタカタと震えて出ていくタイミングを考えているとドアが荒々しく開く音が聞こえた。
今まで一度だって場所を当てられた事がなかったのに…!
幸いこの教室は物や隠れる場所も多いしなかなか見つからないはず。
どうか諦めますようにって祈ったのに、世の中無情だ。


「見ぃーっけた」

「ひぃっ!」

机の下から引きずり出されてそのまま床に押し倒された。
彼が上に跨がっていて逃げられない。
怖くて震えがっ…あれ?
もう肌寒いくらいの季節なのに彼は凄く汗を掻いてる。息も荒い。

「ったく、手間かけさせやがって…」

「ひ…」

彼の手が僕のネクタイを掴んで身構えてしまった。
彼はもしかしていつも一生懸命探してくれたの?毎日毎日逃げ回る僕をそんなに一途に…

「なっなんで、僕なのっ…お、オタクだし地味なのにっ…」

何で彼が僕にこだわるかが分からなくて恐る恐る問い掛けたらふっと優しい笑みを浮かべた。相変わらず怖い顔だけどいつもと違う表情に少しドキドキする。ちょっと可愛くさえ感じちゃった。これがギャップ萌えというやつか…!
そんな事を考えているといきなり前髪を掴まれて顔を覗き込んでさっきの優しい笑みから一気に意地の悪そうなものに変わった。

「やっぱ、俺好み」

「へ、え…?」

「初めてお前を見かけた時によぉ、風が吹いて顔が見えたんだよなぁ…近くで見ると迫力ある綺麗な顔してやがる」


…そう言えば中学の時、女子に髪を切れとか身嗜みを整えろとか宝の持ち腐れとか毎日言われてたけどってちょっと!?
ネクタイを外されてそのまま僕のズボンをぱっぱっパンツごとっ!

「俺面食いなんだよな。お前の顔とかマジ好み。…なぁ、ヤッた事あるか?」

もう何が展開されてるか分からなくて取り敢えず必死に首を横に振った。

「じゃあ童貞か。イケメンで童貞なんて良いねぇ…安心しな、俺が男同士のセックスを教えてやんよ」

「えっちょっ、やっ、なっ何っ…」

「俺は名器だから任せとけって」


これっていわゆる何てエロゲ展開?
ていうかここ理科室だよっ!学校だよ!?

「さぁ、気持ち良い事しようぜぇ?」

「ひっひぇぇええっ!!」


この日、僕は大切な貞操を無くすと同時に男同士のその、アレの気持ち良さを身を以て知りました。
リアルなら男同士も、良いかも…。




2011/10/28
実は美形オタク×強面不良です。実は不良が受けです。襲い受け撃沈。
裏設定でオタクは『何が悪い!』の優の旧友、舞台は『揉ませろ!』の商業高校と私学です。
この後どうなったかは例のごとくご想像にお任せ致します。


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