「俺やっぱお前好きだわー」
「え？」
落ち着け、落ち着くんだ松下 寿典(まつした としのり)！
今の流れは何だ？
俺は今、幼馴染みの尚輝(なおき)と一緒にゲームしてたんだ。
そう、ゲーム。最近出たばっかのRPGね。
俺1人じゃ無理だってなって尚輝を家に呼んでゲームしてて。
そうそう、そこまでは大丈夫なんだよ。
問題はさっきの俺の発言ね。
「俺やっぱお前好きだわー」って何気軽にコクっちゃってんの？
今まで我慢してたのに何で今言っちゃったわけ？
大丈夫、まだ大丈夫。
尚輝の脳内をリセットしたら大丈夫…
「寿典、今好「リセットォォォォォ！！」
「あ…まだセーブしてなかったのに」
ノォォォォォォォォ！！
俺がリセットしたかったのは尚輝の記憶なんだよ！
何でゲームをリセットしちゃったんだよぉっ！
ここまで来るのに3時間かかったのに…！
あっ、また尚輝を家に呼ぶ口実出来たっ。じゃなくてぇぇぇっ！
今は尚輝のリセット方法について考えろ。
大丈夫今の俺超落ち着いてる。
まずはボタンだよな。
あの右目元にあるホクロとか？
あのボタンは小さすぎるから失敗したら尚輝の目に指差しちゃう。
他にボタンって言ったらやっぱ…乳首？
そうだそうに決まってる！決して尚輝の乳首に触りたいなんて邪な気持ちないからね！
でもあんなとこいきなり触ったら駄目だろ。
ピーンポーン！あっ、呼び鈴と間違えちゃった☆
これだ！
この手なら間違いなく怪しまれずにリセットボタン押せるんじゃね？
ていうかリセットボタン押したら乳首押したことも忘れるんじゃね？
俺ってあったまいーっ！
「……寿典、全部声に出てるぞ」
何、だと…？
全部って全部？
今は両手で口押さえてるから聞こえてないよね。
ふぃー。
顔逸らしてても今尚輝が俺ガン見な事は分かる。
どうする？どうすればリセット出来るの？
「寿典、あのさ…「お願いします今の全部リセットして下さいお願いしますぅぅぅぅ！！」
結局手に持ってたコントローラーを投げ捨てて勢い任せの土下座しかないよね！
告白だけじゃなくて乳首ピンポーンのくだりまで聞かれちゃう、なんて…！
何で言っちゃうんだよぉ。
尚輝を困らせたくないから今まで黙ってたのに何でっ…フラれるのぐらい分かってるじゃんか。
尚輝は優しいし何でも出来るし、女の子にモテモテだし。
幼馴染みだから俺みたいな趣味ゲームのオタクと一緒にいてくれてんのにコクったらそれすらパァじゃん。ゲームオーバーじゃん。
俺のバカー！
「分かった。忘れるから顔上げて？」
「尚輝…！」
やっぱ尚輝は優しいなぁっ！
半べそかいてたけど忘れてくれるって言葉に安心して顔を上げた。
さーて、後はまたゲームをしたら元通りだっ。次はセーブを忘れないようにしないと。
「忘れるから、コンテニュー」
「え？んー……え？」
転がってるコントローラーに伸ばそうとした手を掴まれて尚輝の方を向いた。
いやいや何でそんな真剣な顔しちゃってるの尚輝さん。
もう1回言ったらリセットの意味ないじゃんかぁぁあっ！
まさか許してくれたと見せかけてのやっぱりゲームオーバー？
乳首ピンポーンがやっぱ引いたとか？
「もう1回聞きたいな…」
「っ…」
「早く」
尚輝ポーズ！止まってちょっと！
距離が縮まって近すぎて顔逸らせない。
少しでも動いたらチューしちゃいそう…チュー？
おかしいおかしい。えっ、まさか…？
「…尚輝、好き」
「うん、俺も寿典が好き」
えっえっ？
そんなまさかまさか！
いやもうさすがに落ち着けないよ。
嘘、両想い？
「んっ、んー…っ！なっ、尚輝っ！？」
「大丈夫。俺に任せて？」
喜ぶ前に次のステージ突入なんてっ。
このステージはクリア出来るまでゲームオーバーすら出来なさそうだ。
2011/10/19
ただ単にゲーム用語を使いたかっただけのお話です。寿典は一回も落ち着きを取り戻していません(笑)
次のステージはご想像にお任せします。
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