綺麗な花には | ナノ
 



立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
その言葉が似合う美人には悪い虫がつく。
今日も俺は全力でその虫を追い払ってやる!



「真琴(まこと)ちゃんはホント可愛いねぇ」

「学校も終わったし、今から一緒に遊びに行かない?」

「今日は景太(けいた)と帰る約束してるんだ。ごめんね」

今日はまた一段とモテてるな。
長身で細身の美人。
物腰は柔らかいし…何てったって笑顔がすんげぇ可愛い。
真琴がモテるのは今に始まった事じゃないんだからさ、もうちょっと警戒心持ってくれよ。頼むからっ!

「まぁまぁ、あんな小猿なんか放っといてさぁ…」

ニヤニヤしたクラスメイトの手が真琴の肩に回された時に俺の中でプッツン来た。


「誰が小猿だコノヤロオォッ!真琴から離れろっ!下心見え見えなんだよっ!」

「おっ、来た来た。相変わらず小猿ちゃんは元気だな」

真琴の肩にある手を掴んだら上から頭を押さえ付けられた。
腕を振り回してもチビの分類の俺は全く手が届かない。
チクショー!

「離せコンチクショウ!真琴に触んなっていつも言ってんだろぉっ!」

「はいはい、そうですねぇ。」

「小猿の反応ウッケるー」

クッソー…っ!
真琴を守れたと思ったら今度は俺がからかわれてる。
見上げなきゃいけないのは悔しいしムカつくけど目一杯睨んで威嚇してやる。

「お前がもうちょっと真琴ちゃんみたいに可愛げあったらなぁ。顔はあれだけど抱き心地は良いし」

「抱き着くなっ!はーなーせーっ!!」

完璧遊ばれてるっ!
いくら腕の中で暴れてもびくともしねぇしっ。
力の差を見せ付けてくるんじゃねぇぇっ!


「ねぇ、景太返してくれる?」

「真琴、ちゃん…」

顔がクラスメイトの胸に埋まってて状況はよく分かんない間に腕の中から解放された。
あー、無駄に疲れた。
肩の力を抜いてたら手を引っ張られて思わずよろけた。

「景太、帰るよ」

「お、おう」


後ろでやり過ぎだとか何とか言ってたけど俺は真琴の笑顔に見とれて耳に入ってこなかった。




「真琴はもうちょっと警戒しろっ。か、可愛いんだから」

「景太の方が可愛いよ」

「あのなぁ…」

やっぱ自覚ねぇか。何でこんな可愛いのに自覚持てねぇんだよぉ…
いつか、いつか本当にどっかの知らない奴に襲われでもしたら…!


「景太の方が気を付けなよ」

「んっ…」

顎を掴まれて上を向くと同時にキスされた。
慌てて周りを見渡して確認したら誰も居なかった。
セーフ…!

「そ、外では止めろって言って…」

「顔真っ赤。可愛い」

クスッて柔らかく笑うから言葉を飲んでしまった。真琴の方が可愛いっつーの。


「景太、家でなら良い?」

「えっ、あ、お、おう」

首を傾げて可愛く聞いてくるもんだから思わず頷いた。
そしたらもっと可愛く笑う。
こっちの気も知らないで…

「俺なら大丈夫だから。景太は俺が守ってあげるからね」

「おう…」

そう言っても明日にはまた悪い虫が寄ってくるんだろな。
大切な花を守る為に明日も精一杯頑張るぞっ!


「あ、そうだ。さっき俺以外に抱き締められたからお仕置きね」

「!?」





2011/06/28
美人×小猿です。
裏設定で真琴はかなり喧嘩が強くて景太だけがそれを知りません。
そして真琴に寄ってくるのは景太の反応を面白がってるクラスメイトぐらい。真琴も一生懸命な景太が可愛くて見ていたいので特に嫌がりませんがクラスメイトがやり過ぎたら静かにキレます。


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