微睡み | ナノ
 



仕事が休みの日曜日。
それでも俺達は毎週早起きしてる。


「あーっ、やっぱ格好良いなぁっ!デザイン的には歴代一だよねっ。でも前々作のも捨てがたいしなぁ」

「んー…」

まだ目がちゃんと開かないままテレビ画面を見る。
毎週日曜はこいつが大好きな特撮を見てる。
もうオタクを通り越してマニアだ。
俺達が生まれる前の作品まで復刻版DVD持ってるし。
今もテンション上げて俺にいかに素晴らしいかを力説中。
もう小さい頃から何十回、いや何百回も聞いてるから見たこともないのに歴代の作品の良かった所を述べられる。


「ふぁあ…」

「まだ眠いなら寝てていいよ?」

コマーシャルの合間欠伸を漏らしたらマグカップを差し出された。
いつも番組が始まる前にこいつが淹れてくれるコーヒーを一口飲む。
俺好みの甘さだ。


「起きてる。一緒に見たいし」

「そっか。今日の話も面白いよねっ。最初出てった時はどうなるかとハラハラしたけど」

眠気を噛み締めて一生懸命語り出すこいつにただ静かに相槌を繰り返す。
本当は楽しそうに見てるお前を見たくて早起きしてるんだけどね。
マグカップをテーブルに置いて再開した番組に集中するこいつを盗み見る。
ああ、今日も楽しそうだ。


「終わったな…そろそろ洗濯する…ぞ」

ソファーから立ち上がろうとすると肩に感じる重み。
視線を向けたら規則正しい寝息を立てて寝ている。
見たい番組が終わったからまた寝るって子供みたいだな。
肩の重みが愛しくてソファーに座り直し肘置きに掛けていた毛布を起こさないようにそっと掛けた。

「……おやすみ」

テレビを消してこいつが凭れるのに丁度良い高さに肩が来るように座り直す。
視線を向けた先にあるのはお揃いのマグカップ。
その奥の黒い液晶にはソファーに座って寄り添う俺達。
ふと自分の左手を見て薬指に嵌められた少しくすみ始めた指輪に表情が綻んだ。
特別何かしなくても良い。
こいつとの何て事ない日常が至極幸せだ。






2011/05/21
自分も昔はよく特撮ものを見ていたなぁと思いながら書いてみました。
見た目的な特徴は出てきていませんが美形×平凡で幼馴染みの同棲中です。


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