天気の良いの昼下がり。
学校を抜け出して海沿いの道をチャリで走ってる。
後ろに乗せてるのは可愛い女の子とかじゃなくて俺よりもデカイ美形の男。
俺の相棒だ。
「あー、重い」
いつもならこいつがチャリを漕いで俺が後ろで楽してんのに。
今、こいつは利き腕を骨折中。
「ったく。お前、骨折とかしてんじゃねぇよ」
「……うっせ」
こいつは喧嘩中に骨折した。
確か相手は近所の学校の奴らだったと思う。小物が馬鹿みたいに集まって俺達に喧嘩を吹っ掛けてきた。
本当に馬鹿だ。
俺達2人はここら辺じゃ知らない不良居ないって言われてるぐらい喧嘩が強い。
まとめて来た所で勝敗の結果は変わらねぇ。
だから楽勝だと思ってたのにこいつは利き腕を折られた。
そんで今、こいつを病院に連れてくところ。
「骨折とかだせぇな。お陰で俺が漕がなきゃいけねぇだろ」
溜息混じりに言ったら腰に抱き着いてきた。
この野郎、ギブス着けてる方の腕で抱き着きやがって。
振り払うに振り払えねぇ。
「しかもあんな雑魚共相手に…何で避けなかったんだよ。お前なら避けれただろ」
「それは…お前が居たから」
「は?」
思わず声を上げて振り向こうとしたけど背中に額を押し付けられて顔が見えねぇ。
俺が居たからって、いっつも2人で居るんだから当たり前だろ。
「俺が交わしたら、お前の背中に直撃だったから」
その言葉に驚いた。
そういや、前の奴らを蹴散らしてた時に後ろから鈍い音が聞こえた。
確かにあまりの人数に後ろの奴らまで見てる余裕がなかった。
「お前は俺の大切な人だから。絶対怪我させない。お前が怪我するぐらいなら俺が怪我する」
「何それ」
こいつ、また無駄に格好良い顔して言ってんだろうな。
いつもそうだ。
「ばーか。本当にどうしようもねぇ馬鹿だな」
「馬鹿で結構。お前の為なら利き腕折られるぐらい何て事ないの」
腰に回された腕に力が籠った。
お前、骨折してんのに力入れんなよ。
本当にこいつは、俺が絡むと自己犠牲が激しい。
いつか俺の為とか言って命も差し出しそうだ。
「お前、次俺庇って怪我したら絶交だからな」
「無理。絶交とか無理。それに大切な子を怪我させるとか無理」
「じゃあお前も怪我とかすんな」
大切な人に怪我させるとか無理とか。
そんなの分かってる。
そんなの、俺も一緒なんだよ。
だから怪我すんな。
「ばーか」
2011/03/01
memoでチラッと呟いた妄想を書いてみました。
美形不良×平凡不良です。
馬鹿って響き、可愛いです。
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