ダイカゲ
「カゲツ、ちょっといいかな?」
「あ?」
ちょっとちょっととダイゴに手招きされて日頃あまり立ち入らないチャンピオンの間に踏み入れるとダイゴは藪から棒にカゲツ、頼みあるんだけれど。なんて言いはじめた。
「お前が頼み?碌でもねー予感しかしねーな」
「はは、まあ、概ねそうかな?」
「は?」
否定しやがんねーってマジでやばくないか?俺の不安を余所にダイゴは勝手に喋り始める。
「実は今度親父の会社の関係で、イッシュの企業家を何人かホウエンに招く事になったんだ」
「ほー、頑張んだな親父さん」
「それで僕が彼等がホウエンに着き次第迎えに行く事になってるんだけど」
「行って来いや、」
「カゲツ話は最後まで聞いてよ」
茶々入れないでよ、と言われへいへい、と適当にあしらうがダイゴも慣れているから話をさっさと元に戻す。
「その時、あっちの挨拶で挨拶したいって言われて親父が承諾したらしいんだ」
「あっち?」
「イッシュ様式の挨拶」
「あー、あのなんか抱きついて顔左右にひょこひょこするやつか」
「親父はな慣れてるんだろうからいいんだけど」
「慣れてないんだったらぎこちなくていいじゃねーか」
正直なの上等じゃねーか。誠実一番だろ?思う儘に伝えるとダイゴは額に手を当てて頭を左右に振って
「慣れてないどころかした事が無いんだよ」
と困り顔になった。
「はあ?ねーの?お前結構余所いくじゃねーか」
「僕は余所の国に石を探しに行ってるんだ、人と挨拶なんかした事ないよ」
だから練習に付き合ってくれないか?頼む、と両手を合わせ拝むように重ねて頼むと、カゲツはしょーがねーなーと首を擦りながら腕を軽く広げてダイゴを待ち受ける。
悪い、と口は顔は申し訳なさそうに振舞うが心の中では親父ごめん、と半ば心無く謝っていた。

貴方の息子は貴方をだしに嘘を吐きました。


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