いちまんヒットフリーおきば | ナノ

オマケ


・デンオ

猫背彼氏


ナギサのスターは思いの外姿勢が悪い。

流石トレーナーの前や縦しんば公の場に出るときは背筋を伸ばし、普段一切活躍させないイケメン面をフル活用してるらしいが、その場が過ぎ去った後はあからさまに態度が何時ものナギサが誇る引き篭もりスターに戻る訳で。
猫背の原因は主に彼奴の趣味であり実用であるメカ製作やそう言った機械の開発だ。狭い所に潜り込んで配線したり溶接したり、細かい部品を組み立てたり。猫背になるのは目に見えた生活を繰り返せば、あっと言う間にエネコもびっくりな猫背の完成だ。もう目も当てられない。
様子を見に行くたび、猫背ー!と小突いたり蹴っ飛ばしたりして注意をするものの、ライフワークの為にか妙にデカイ意地の為か言えば言う程デンジは言う事を聞かない。
何で猫背にすんだよ、しゃんとしろしゃんと。なんでお前の背中はそんな縁側で居眠りしてそうなばあちゃんみたいに丸いんだよ。しゃっきりしろ!

でも逆の考えをすれば、こいつが猫背でいる時はとてもリラックスしている時でもある。

機械いじりであれポケモンの世話の最中であれ、ぼーっとしている時であれこれそれ…デンジは気を抜いている時しか猫背にならないみたいだ。

つまり、俺といる時は気が抜けてる訳だ、あのナギサのスター様がだぜ?外面いいし、なんだかんだと任された仕事はこなしポケモンに関する事であれば面倒見もいいし責任感もある。でもデンジは変だ、あんまりにも残念でデンジに声をかけた女の子から何回「なんであんなんなんですか!」と俺が怒られた事もある。本当、なんであーかは俺が聞きたい。寧ろ何で俺が怒られるのかが知りたい。
そんなデンジが俺といる時はいっつも猫背でぼんやりしながらも、俺が言えばのろのろと洗濯物はたたむし片付けろと言えばのそのそと動きながらも大事なものだけは寄せていき、飯を作っていれば何が楽しいのか俺の背後にくっついてもやもや何かを呟いてる。
その間もデンジは猫背だけれど、何時も力も覇気もやる気も感じられない目はうっすらと世界を映し、俺を視界に入れている。その時の眼差しは無気力には違いないけれど、何処か柔らかく落ち着いた感じがして、それは俺以外に見せる事のないものだとも実は俺は知っている。
何それ彼氏?なにそれ職場では仕事の出来る厳しい上司?うわ、うっわ似合わない、すっげぇえ似合わないし笑える。でもそれって…凄い優越感もあるし、ちょっとだけ嬉しい…し?うわ俺きもい!今のなしなし!
等と一人奇妙な動きをしながら、オーバは包丁を動かすのを再開する。そろそろデンジが背後に侍りだす頃だ、それまでに何時も通りに戻らないとな。デンジにからかわれると後が長いんだよ、しつこいし。

詰まる所、俺は猫背のデンジが少しだけ気に入っている。

でも言ったらデンジは調子に乗るだろうから、猫背のお前が悪くないとはまだ言ってやらない。

もう少しだけ俺だけの猫背の彼氏でいてもらおう。





間違えて書いてしまい、しかも少し趣旨が違っていたんですがせっかくですので上げておきます。デンオはそう言うカップルじゃない!と声高に叫んでみる。







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