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divertissement.(カルネ+サーナイト)






そうだサーナイト、と何時もの気紛れを思いついたようにカルネはわたしを呼び、子供の頃と全く同じ動作でくるり、と踵で半回転するとわたしに手を伸べ
「踊ろう!」
と胸の奥から弾ける様な声で提案してきた。

『突然どうしたのカルネ?』
私の声は届いていないだろう。人間に私の言葉は解らない、鳴き声としてしか判断出来ていないそれをカルネは長年の付き合いから読み取ったのかだってね、なんて子供みたいに言い始める。
「ガンピさんとズミ君見てたら踊りたくなったの!だってズミ君下手っぴなんですもの」
確かに、あれはひどい。しかし後の方は上手くなったのに何故わざと足を踏んだり違う方向に腕を突っ張ったりするのだろうかあの男は…
「ズミ君も素直じゃないんだからー、見てるこっちがやきもきしちゃう」
『?』
カルネ?どう言う事なの?首を傾げるもカルネはうふふ、と含み笑いをするだけで何も言わずにわたしの腕を取ってくるくると回り始めた。
「サーナイト!おーどりましょ〜」
『!?!?』
カルネ、カルネ!目が回る!意外と速い回転は細いサーナイトの体に容赦ない遠心力をかける。解った解ったと手をばたつかせ、カルネを立ち止まらせるとカルネの手を取り、腰に手を添えカルネの口ずさむ唄を合図にステップを踏む。
「アン、ドゥ、アンドゥ…ふふ、サーナイトはやっぱりダンスが上手ね!」
ズミ君とは大違い!と嬉しそうに報告してくるカルネの背後ではがねの男がまた悲痛な声を上げている。なぜ料理の男ははがねの男に意地悪をするんだろうか?わたしには理解出来ない。
サーナイトが頭の中でそう思っているとカルネがまたサーナイトを呼び、こう言った。
「サーナイト、これからもずっと一緒よ?」
幼い頃からずっと繰り返してきた口約束を、カルネは最近また何度も口にする。
カルネ、わたしを信じていないの?わたしは約束を必ず守る、わたしはカルネをずっと守る、カルネとずっと一緒に居る。だからカルネ

『そんな泣きそうな顔で笑わないで、カルネ』

カルネの靴の立てる微かな音と殆んどしないサーナイトの足音が止むまで、サーナイトはずっと胸の中でカルネに語り続け慰め続けていた。





書初めがカルネさんになりました。以前あげたツイッターまとめにあるダンスの練習をするズミガンを見ていたカルネさんとサーナイトと言う遠い繋がりです。
好きなです、トレーナーとポケモンの話


15/1/6