300字SS
朝光
カーテンの隙間から入り込み
ぼんやりと部屋を照らす
羽毛布団に包まる二つの塊
身体を寄せ合い眠る
微かに聞こえる鳥の囀り
静かに開かれる円らな瞳
僅かに触れる柔らかな胸
仄かに香る昨夜の甘い熱
徐々に蘇る記憶
触れるだけの唇
撫でるだけの指
熱を孕んでいく
求めるままに
重なる素肌
交わす愛撫
本能のままに
絡まる両足
擦る秘蜜壺
互いの身体を
揺らしながら
快感の海へと
堕ちていった
もぞもぞと一つの塊が動く
「……おはよう」
少し擦れた声は
昨夜の戯れの証
「おはよう」
「朝ごはんは?」
「作って」
「うん、キッチン借りるね」
起き上がろうとして
腕を掴まれる
「服、着ないと風邪ひいちゃうよ」
言われて急に恥ずかしくなる
部屋の中は
太陽の光で
いっぱいだった
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