300字SS
夜嵐
ガタガタと騒がしく揺れる窓
屋根に激しく打ち付ける雨音
家の中はのんびりとした空気
いつもと変わらない生活時間
「今夜から明日の朝にかけて台風並みの嵐」
箱の中の人が真剣な顔で訴える
「外出は控えますように」
それでも外出する人はいるだろう
そんな世の中は矛盾だらけの世界
お風呂に入って一息吐く
換気扇が風を逆流させた
いつもとは違う世界へと
少しづつ入り込んでいく
全ての汚れを落とし
新しい服を身に纏い
寝具へ身体を滑らせ
ゆっくり目を閉じる
荒れ狂う外の世界
夜の闇を一層深く
恐怖を植え付けて
自然の怒りを教え
未来を警告する嵐
全てを壊していく
飲み込まれる意識の中
自分の犯した罪を償い
与えられる罰を受ける
そして静かに終焉を迎えた
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