300字SS
青空




初めて触れた手
初めて繋ぐ指先
徐々に近付く距離
静かに交わす言葉
触れる度に震える心
繋ぐ度に熱くなる胸
大事に温め大切に扱う
優しく包み丁寧に育む
そして芽生える小さな恋
そして生まれる小さな愛
膨らむ想いを秘めた瞳から
僅かに溢れる見えない涙を
大きな掌で受け止めながらも
無音の言葉で柔らかく包むと
誰にも聞こえない恋の譜は奏で
愛の詩が二人を包み込んでいく

貴方が好きだから私は生きている
貴女が好きだから私は生きている

見上げると遥か高くに澄んだ青い空
遠くに湧き上がる大きく白い入道雲
夏の始まりに似た照りつける日差しが
暑く熱く貴方と私を焦げつかせていた
永遠の始まりにも似た永い時を刻む音は
誰にも聞こえない世界の奥へ閉じ込めた




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