300字SS
同居




 賑わっている商店街の人の波を上手く避けながら八百屋と肉屋に寄って、買うものリストに書かれたものを買っていく。新しいエコバックに買ったものを入れ、慣れない足取りでアパートへ帰った。
 玄関のドアノブに鍵を差し込み、ガチャリと開ける。
「お帰り。買えたか?」
 靴を脱いで上がると、荷物を片付けてる温也の姿に胸が大きな音を立てた。
「あ……うん、これ……」
 エコバッグを渡す。
「んじゃ俺、続きやってるから、千嘉作って」
 エコバッグを返され、どうしようと俯く。
「ん? どうした?」
「あ……あのさ、一緒に作らない?」
「俺、料理したことねーよ?」
「僕も」
 二人で顔を見合わせて笑う。僕達の同居生活はまだ始まったばかりだった。



← →
page list



bookshelf
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -