300字SS
相棒




 連日の残業でもう限界とフラフラになりながら帰宅。靴を脱ぎ捨て、コートの釦を外しながら部屋に入り、脱いだコートを放り投げ、ベッドの上にダイブする。ボフッと篭った音を身体で受け止めると、頭の上でコトンと何かが倒れてきた。手を伸ばしてそれを取る。ボロボロの毛並みにつぶらな瞳、短い手足の愛らしい姿は、無意識に笑みを零させた。
「もう疲れたよー」
 子供の頃から一緒のクマのぬいぐるみは、勿論答えることはない。答えたらそれこそホラーだ。ただ黙って私の愚痴を聞いてくれるだけ。でもそれは私にとって充分で、一通り愚痴り終えたら気持ちがスッキリした。
「いつもありがとね」
 小さな体を胸に抱きしめ、そのまま私は寝墜ちていた。



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