授業中指されて戸惑っていたら助けてくれた
どうしよう、全然集中出来ない……。
私の右隣の席には、気になって……ううん、気になってる程度じゃない。
好きで好きでどうしようもない琉夏くんが座っている。
しかも、ちょっとでも動けば、肩と肩が触れ合ってしまいそうなくらいの近さで。
「美奈子、教科書忘れちゃったから一緒に見せて?」
見るもの全てを虜にしてしまいそうな笑みを浮かべた琉夏くんは、私の返事を聞く前に机をぴたっとくっつけるように移動させた。
こうして、私と琉夏くんの間の距離は限りなくゼロに近づいた。
教室の隅っこ、その上隣同士の席ってだけで、色々と想像しちゃって……毎日落ち着かなくてソワソワしちゃってるというのに。
だから……それ以上に二人の距離が近い今の状況では、右側ばかりに意識がいっちゃって、授業の内容なんてまるで頭に入ってこない。
入ってくるわけがない。
こんなんじゃ勉強どころじゃないよ。
「はぁ……」