▼ トライアングルシンドローム
暗闇の中で色とりどりのジェンガが派手な音を鳴らし散らばった。
「はい、美奈子の負けー!」
「二人とも強すぎるよ……!」
肩を落としがっくりする美奈子を挟んでコウとハイタッチする。
まあね。
美奈子をモノにするためなら、どんな勝負にだって勝てるもんな。
「美奈子、じゃあ早速俺らの言うこと聞いてもらいましょうか。なあコウ、ちょっとこっち来て」
ベッドの足元に立ち、コウを呼ぶ。
ジェンガが入っていた袋に入っていたその服をコウに見せると、親指をぐっと立ててくれた。
「美奈子、じゃあこれ着てもらえる?」
そう言って真っ赤な布地に白いボタン、大きく開いた胸元にはリボンがあしらわれた上下でセパレートされているその服を、美奈子の目の前に差し出す。
「ル、ルカちゃんこれって……」
「そ、サンタ服。美奈子が持ってるのよりちょっぴりセクシー仕様です」
「ちょっぴりっていうレベルではないような……」
サンタ服の露出度の高さに美奈子は目を見開く。
んーでも、いつものオマエの格好の方がもっと露出度高い気がするんだけどね。
ふんわりと柔らかそうな胸、程よく肉が付いていて吸いつきの良さそうな太もも、綺麗にくびれた滑らかそうな腰。
本来なら必要以上に隠されてなきゃなんないところなのに。
なのに、ちらちらと目に映る警戒心をまるで持たない美奈子の白い肌が、視覚以上のモノを否応なく運んできて、性欲を散々挑発するんだ。
どんなに自分で自分を慰めたって、そんな簡単なリミッターなんて随分前からすでに意味をなさなくなっていて、俺らがいるのは限界ギリギリのライン上。
言うならば、きっかけさえあれば、一気に臨界点まで突き抜けられる一触即発の状態。
もう止まんない。
止めようとも思わない。
俺ら、そんなオマエにどんだけ翻弄されてきたんだって話だから。
コウを出し抜く、出し抜かないで悩むのももうやめだ。
美奈子はどうしたって、一人しかいないんだし。
なら仲良く一緒に手に入れよう。