▼ ある夏の日の策略
「ねぇ、美奈子。今日付き合ってもらいたいところがあるんだけど、放課後時間ある?」
「うん、今日は何も予定入ってないから大丈夫だよ。どこかに行くの?」
「そう、どうしても行きたいお店があるんだ。そこに一緒に行こう?」
「うん、分かった。じゃあ放課後に靴箱の前で待ち合わせね。また後でね、琉夏くん。」
その答えにニッコリ微笑むと、俺も教室に向かって歩き出した。
放課後に起こす企みのことばかり考えていたら、授業なんて上の空。
大迫ちゃんに叱られちゃって悪いなとは思った。
思ったけど、楽しみ過ぎてそれ以外考えられない。
今すぐにでも放課後になっちゃえばいいのにな、なんて。
いつもよりずっと長く感じた時間が終わり、掃除も素早く終わらせて一目散に靴箱に向かう。
そこに見えたは今日の獲物の美奈子ちゃん。
「あっ琉夏くん!」
とびっきりの笑顔で迎えてくれた。
ああもう、ちょーカワイイ!
まるで飼い主に構って欲しくてたまらない子犬のように、すぐさま美奈子に駆け寄った。
「いいな、こういうの。青春って感じ?よし、行こう!」
「ねぇ、琉夏くん。今日はどこに行くの?」
「まだナイショ。俺に付いてきてくれれば分かるから。だからおしゃべりしながら歩いて行こう?」