long story-trip- | ナノ


vol.5


「はあー美味しかった。」

スープの汁まで一瞬で飲み干されたお椀の向こうから、とろけるような笑顔がのぞく。
なんて幸せそうな笑顔。
琉夏くんの幸せそうな笑顔を見てたら、私まで幸せになってくるの。
…なんて乙女チックなことを考えるより心配が先にくるんですけど。

いや、沖縄そば美味しいけどさ…ねえ、麺はちゃんと噛んで食べた?
結構、太いしコシあるし丸ごと飲み込むようなものではないと思うんだけど。
身体細い方なのに、大食らいなの?
大食らいなのにあまり噛まないでご飯を食べるって…それ太るフラグだよ。
琉夏くんの食生活が大変…心配です。

なんてこと言えるわけなく。
言ったら言ったでちょっとややこしいことになりそうだし、食べ方に関してはおいおい直していってもらうとして。
とりあえず早めに目的地に向かおう。
帰りに買い物もしなきゃなんないし。

「さて…琉夏くん食べ終わったよね。そろそろ移動しよっか。」

「うん。美味しかったーごちそうさま。あっ、奏…お金…。」

「ああ、いいよ。私が払うから。っていうか、琉夏くんが持ってるお金って『リッチ』でしょ?それは、ほら、ね。こっちの世界じゃ使えないから。」

「そうなんだ…。あれ?俺ってかなり役立たず?家事苦手だし、お金も持ってないし…。奏、コウを呼べば良かったのにね。」

しゅんとしちゃったよー。
って、え?この状態になるシステムってキャラの名前を呼べば召喚出来るようなシステムなの。
ちょっと試してみよ…いや、違う。うっかりのってしまいそうになったけど。

私は、目の前にいる少しいじわるでエッチで甘え上手で寂しがりやで…どこかふわふわしてて儚げで、色々なことに無頓着そうなこの人が好きでほっとけなくて叫んだんだから。
今ここに存在してくれてるってことだけで嬉しいんです。

「琉夏くん、ほらもう!しょんぼりしないで。誰が家事させないって言いました?苦手でもがっつりやってもらいます。あ、料理以外ね。特に、お掃除頑張ってもらいますから。」

「奏ってさ、意外とちゃっかりしてるよね。」


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