その後は、海のプラネタリウムと呼ばれるカーテンで仕切られたコーナーに入ったり、お土産屋さんで一通りお土産を見て、水族館を出た。
水族館に着いたとき空はまだ明るかったのに、今じゃ辺りはもうすっかり闇に包まれている。
水族館の出口から駐車場に向かうためには、入口の前を通る必要がある造りになっている。
駐車場までの道のりを、琉夏くんと並んで歩く。
海から少しだけ湿気を含んだ風が二人を包む。
あの魚かわいかったね、だとか、あの写りこんでた飼育員さんすごくいいお仕事したよね、だとか、今日の出来事をたくさん話しながら。
そして、入口の方へと続くエスカレーターに琉夏くんの後ろに従って乗り込み、海の方へ身体を向ける。
漆黒が広がる海に金色の光が反射してゆらゆらと漂っている。
あ、この光景琉夏くんにも見せたい。
琉夏くんの服の裾を少し掴んで引っ張る。
「ねえ後ろ見て、琉夏くん。あの海の金色、琉夏くんの髪の色みたい。」
「奏、急に詩人みたくなっちゃってどしたの?でも、海の金色って…いいね。うん、俺気に入った。」
「ホントに琉夏くんは…一言余計だよ。でも、なんかもう慣れてきたかも。」
「そうそう、そしてその一言がないとだんだん物足りなくなっていくんだよ。奏はそういう体質になってくの。」
「そういう体質って…なにそれー?なんかイヤらしい感じ。」
「そう思う奏の方がイヤらしいよね。あっそうか、奏はむっつりなんだな。」
「ちょっと!勝手に決め付けて勝手に納得しないでよ!ああもう!」
ハハッと笑い声をあげながら、先にエスカレーターから降りて私を待っててくれる琉夏くんの笑顔がとても綺麗で思わず見とれてしまった。
駐車場に着いた私たちは、車を見つけて乗り込む。
「さて…と。帰ろっか。あ、少し寄り道してドライブして帰るってのはどうかな?」
「もちろん賛成。あ、でも奏、運転大丈夫なの?疲れてない?ドライブは今度でも大丈夫だよ。」
「ううんー大丈夫。私、運転好きだから。それに、最近職場と家だけの往復でそれ以外の違う景色見てないから、私がドライブしたい気分なの。だからそれに付き合ってくれたら嬉しいな。」
「分かった。じゃあ、付き合ってあげる。」
「ふふっ。じゃあ、よろしくお願いします。」
そう言ってエンジンをかけ、水族館を後にした。