今日はタマキちゃんと一緒に任務。タマキちゃんがまだ任務に慣れていないようだからついてってやれ、ってジョナサンに。タマキちゃんはシロウ君の専属パートナーじゃなかったのか。まぁ、いいんだけど。そういえばタマキちゃんと二人とか初めてだな。まだ日が浅いっていうのもあるけど。
「カザリさん、任務内容ってどんなものなんですか?」
あり?まだタマキちゃんにさん付けされちゃってるや。礼儀正しい子だねー。
「カザリって呼び捨てでもいいよ。えーっとね、小さな不良チームの討伐かな」
タマキちゃんはじゃあそうするね、と口調を崩してくれた。なんかお近づきになれた気がする。
「チーム名は…『ラプンツェル』…?」
無名のチームだなぁ。ていうかすごく女の子っぽい。お姫様の名前だし。でもまぁ人に迷惑かけてるし、ノラブレ放置ってわけにもいかないからね。
「あ、そうだ。任務終わったら甘いもの食べよ?いいお店知ってるから!」
おいしいアイスクリームのお店あるんだよ。モチベーション上げて頑張らなきゃ。
「うん、食べよ!」
タマキちゃんも笑顔で返してくれた。
そこ。死亡フラグとか言わない。
*****
V区のショッピングセンターの地下、『アンダーグラウンド』に明らかに人相の悪い人達が屯っている。
「あのー、ここら辺にチーム『ラプンツェル』ってのが居るって聞いたんですけどー?」
すると屯っている内の一人がこちらをギロりと睨んできた。お、これは当たりかなー。
「俺達チーム『ラプンツェル』になんか用かゴルァ」
ん?よく見たら強面でガタイのいいお兄さん方しか居ないじゃん。まさか…女の子とかいないの!?なんかショック!
「はいはーい。貴方達が迷惑かけてるって聞いて、私達が倒しに来たんでーす。」
「テメェ等…。ガーディアンか!!」
強面のお兄さんもとい、乙男達は状況が理解できたようで、私達を取り囲んだ。そしてどこからかミスティッカーを取り出す。……全員ノラブレかぁ。ただの不良チームなら楽だったのに。これはもう強行手段しかないね。
「カザリ!」
「よーし、タマキちゃんやったげて!!」
《アフロディーテ》+氷+風!
氷のミスティッカーによって凍らされた花弁や棘が突風によって、タマキちゃんを中心に広がっていく。これで周りのノラブレ全員を倒しちゃおうという作戦だ。え、私?今回はあくまで付き添いだから基本見てるだけだよ(オイ)。
視界を塞いでいた突風が収まると、そこには先程まで私達を囲んでいた男達が倒れていた。ただ一人、リーダーらしき男を除いて。
「そんな…全員倒したと、思ったのに……!」
流石にミスティッカーを一度に二枚貼るのはまだキツかったかな…。息が上がっている。それに対し、リーダーの方はきっと後ろの方にでも居たのだろう。ほとんどダメージを負っていない。
うーん。この状況をタマキちゃん一人に任せるのは良心が痛むね。私はポーチの中からミスティッカーを取り出し、腕に貼る。
「《アウロラ》!!」
ミスティッカーを発動し、チャクラムを出す。
「くらえ!!」
リーダーの男に《アウロラ》で、斬りつける。すると、あっさりと地面に倒れてしまった。見掛け倒しな人だなぁ。そんなことより、
「タマキちゃん大丈夫?」
やはり先程の攻撃で精神力をかなり使ったのか、膝をついていたタマキちゃんに手を差し出した。
「うん…あたし、まだまだダメだね…」
私の手をとりながら少し落ち込んでいる。
「いやいや、まだブレイザーなりたてなのに2枚貼りとか中々できたものじゃないから!」
私だってかなり時間かかったのに、タマキちゃんはやってみせた。だから自信持って!そう言うとタマキちゃんの顔がぱぁっと明るくなった。うん、タマキちゃんは笑顔が一番だね!
「よし、アイスクリーム食べよう!奢ったげる!」
任務完了したし、今日はこのまま女子二人でたっぷり遊んじゃってもいいよね?
異論は認めない!