これから、此処で、
人からよく戦闘狂、死にたがり、なんて言われる。まぁ、どっちも正解なんだけれど。いつもは町をふらついて、戦があれば規模なんか関係無しに参加する。それが日常。
今日も戦が起きている。小規模だけど、戦力差がかなりあるみたい…というか、一人が大勢に追われている形だ。私の視界には一人の 男とそれを取り囲む兵士。私は刀を持つ右手に力を入れた。そしてそのまま一人の兵士を斬りつける。続けてほかの兵士も斬る。斬り続ける。
男の顔を見ると、その顔は白粉を塗った綺麗な顔をしていた。きっと化粧をしていなくても綺麗なんだろうな。いつの間にかこの男に見とれていたようだった。男は兵士が全員倒れたのを見ると、私に向かって微笑んだ。
「ありがとう。いつか君も綺麗に斬ってあげるね」
その言葉に私の口は考えるよりも先に言葉を発した。
「なら、今すぐに」
今までは戦に出ても、相手を斬ることしかしてこなかった。斬られるってどんなものなんだろう。おかしい。今まではそんなこと考えもしなかったのに。
この人になら斬られてもいい
そう、私の本能か告げる。
「今はまだ駄目だよ。君の剣の腕が僕と対等になるまで成長しなきゃ。その時に斬り合おう。綺麗に斬ってあげる」
そう言って男は私に背を向ける。今、この人と別れたら次に会えるのはいつだろう。本当に次、会えるのだろうか。私は強くなっているだろうか。もし、これが最初で最後だったら?そんな考えが私の頭の中を巡る。巡り巡って出た答え。
この人を逃してはいけない。
「私も、一緒に行きます。そして、あなたと同じくらい強くなって、あなたに斬られます」
男は一瞬驚いたが、すぐにまた微笑んだ。
「君、面白いね。僕の名前は佐々木小次郎。君の名前は?」
「……ナマエです」
小次郎さんは私に手を差し出す。
「いいよ。ナマエ、一緒に行こう」
その言葉が嬉しくて嬉しくて。視界が滲むのを感じながら、彼の手を取った。
これから、此処で、