秋が男にも女にも好かれやすい性格なのは、不動だって知っていた。だから秋の周りにいる男たちに下心がないことだって分かっている。数人は下心がある男もいるかもしれないが。

不動が話しかけようと思うと、いつも秋の傍には誰かがいて結局話しかけられずに不動は練習に戻る。もやもやとした心のまま練習に戻っても、上手くいくはずもなく不動のストレスはどんどんとたまっていった。その様子を秋は心配そうに見つめていた。不動に渡せなかったタオルをぎゅっと握りしめて、次の休憩時間まで不動だけを見つめ続ける秋。

そして、次の休憩時間に秋は先程渡せなかったタオルを持って不動の下へと向かって走って行った。

「不動くん、タオルどうぞ。」
「・・・いらねえ。」
「え、あ、で、でも汗かいてるし、ふかないと風邪ひいちゃうから。」
「いらねえって言ってんだろ。」

一度いらないと言われただけじゃ引き下がれずもう一度渡そうとすると彼は先程よりも大きめの声で断ってきた。声のトーンがいつもより低いことに気づき、不動の機嫌が悪いことにも秋は気づいた。秋は自分が何か気に障ることをしたり言ったりしたのかと思って一生懸命思い出そうとしたが、特に思い当たることはなかった。

「あの、私が何かしたのなら謝るから、こっち向いて?」
「・・・別に、木野は悪くないから謝らなくていい。」
「え、で、でも怒ってるじゃない不動くん。」

謝らなくていいと言いながらも不動は秋の方を見ようともせず、そっぽ向いたままである。秋はどうも納得できずに、そう不動に言えば不動は「怒ってねえ」と言ってきた。それでも秋は納得できない。そんな秋に不動はため息をつく。

「・・・木野が、」
「私が?」
「誰にでもヘラヘラ笑ってんのが気に食わねえの。」
「え、あ、ごめんね。そんな私の笑顔、ひどかったかな?」

不動の言葉の意味をどう受け取ったのか、秋はそう答えた。全く意味を分かっていない秋に不動は思わず二度目のため息をつくと、秋は不思議そうに首を傾げた。不動はそれを見て「そこが木野らしいけどな」と小さくつぶやいた。

「・・・俺は、木野が俺以外の男に笑顔振りまいてるのが嫌なわけ。この意味分かる?」
「えっ。」
「木野はあいつらといるとき楽しそうだよな。特に円堂といるときとか?」
「っ、わ、私は円堂くんのことは別にそういうんじゃ・・・。そんなこと、不動くんには関係ないじゃない。」
「ふうん。まあ、別にそんなことはどうでもいいけど。」
「不動、くん?」

どうせ俺には関係ねえんだろ
(・・・あ、分かった。不動くんヤキモチでしょ!あ、当たった?顔真っ赤だよ?)
(うるせえ!)

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▼ユキ/Liebe

「スノーフレーク」というのは別名「鈴蘭水仙」と言います。
花言葉は【記憶】【純粋】【汚れなき心】【清純】【美】【皆をひきつける魅力】
と色々ありますが【皆をひきつける魅力】という花言葉で企画名を決めました。
秋受け企画にはピッタリかなーと思いまして。

素敵な参加者様に挟まれてユキは幸せです

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