別にいつも思っているわけじゃないけど。

肌が白いとか、やわらかそうとか、唇が綺麗な薄桃色でおいしそうとか、そういうことを時々考えてしまう俺。
俺だって健全な男子高校生なわけだし、それぐらい普通だとは思う。
でもそんなこと思ってるなんて井上にバレたら嫌われるかもしれない。
それに、バレる前に我慢できなくなって井上を襲う、なんてことも考えられないわけじゃない。


どうすんだ、俺。



そう心の中で思ったとき、後ろから井上に声を掛けられて振り向く。
(・・・・・・・・・っ。)


やわらかくて温かくて何となくいい匂いがする気・・・が・・・。
ってちょっと待て、何で俺井上に抱きつかれてるんだよ。
つーか胸当たってますよ、井上さん。俺を誘っているんですか?それとも試してるんですか?

なんてふざけている場合じゃない。
理性が吹っ飛びそう・・・もう限界だってのに。


「えへへー・・・黒崎くんの匂いがする。」
「(・・・・・・・・・・・・・・・・っ!)」


な、んだこの可愛さ・・・!卑怯、だろ・・・?
そんな可愛い笑顔で、可愛いこと言って・・・やっぱり誘っているのか?

ああもう限界なんだけど、襲ってもいいのか。・・・いいよな。


「井上・・・俺、もう我慢できない。」
「うん!私はいつでもいいよ。」


何かすげえアッサリ承諾してくれたんだけど、意味分かってんのか?井上は。
また見事な勘違いをしてるんじゃねえだろうな・・・。
・・・してそうだな、井上だし。期待しないで居た方がいいな。




「・・・・・・・・・・・・・・。」
「どう?気持ちいい?」
「・・・あー・・・気持ちいー・・・。」
「よかったー!一度やってみたかったんだよね膝枕!」


見事に勘違いしてくれた井上の膝に俺は頭を乗せている。
膝枕は、井上が恋人ができたら一度はやってみたかったことらしい。

でも、まあ。井上のやわらかい膝を枕代わりに眠れるだけでも感謝しないと。
・・・それにしても本当に気持ちいいな、井上の膝。
癖になりそうだな。


「眠かったら寝ていいよ。」
「ああ・・・じゃあ10分だけ。」
「うん、おやすみ。黒崎くん。」





(本当は違うけれど、これはこれでいいもんだな。)



end.





▼主催『乙女心』提出
皆様の素晴らしい作品を拝見してたぎったので私も書かせて頂きました。
読んで下さった方々ありがとうございました!






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