青空が広がる空の下

「はぁ〜・・・」

大きなため息が彼女の辺りを包んでいた

ここはこの世界を治める王城に近い、森の中

この辺りをウロウロ出来るのは、兵士か王家の者のみ

だが、少女の容姿からして、前者はまずありえないであろう

と、なると残るは後者のみ

彼女は王家の血を引く者


プリメア・ルネラート

現国王の一人娘 世は彼女を『姫』と呼称する


そんな彼女がなぜ、こんな森の中にいるのかというと・・・

「今日も使えなかった・・・」

少女は切り株の上に、膝を抱えて縮こまった


守護持ち

小学生にもなろう年なら、誰でも知っている単語だ

この世界はモンスターと呼ばれる人間以外の生物が生息している

その種類は様々で、種類によって戦闘能力、攻撃方法などが変わってくる

そんなモンスターたちを倒す為に、兵士や旅人などという呼び名が存在するのだ

そして、その兵士と旅人がモンスターを倒す為に使う力は大きく2種類

武器を用いた戦闘法

そして守護を用いた戦闘法 この2種類だ

守護を宿す人々のことを『守護持ち』と言う

『守護持ち』はイレギュラー因子とも言える者たちで、生まれつきに守護を持っている

だが、イレギュラーとは言っても世界人口の約4分の1ほどは守護持ちだ

だから、旅をしていると必ず1人は守護持ちと出会う


守護・・・とはどういうものなのかというと

この世に存在するものは全て守護という守り神がついていると言われている

それは人間だろうが、動物だろうが、植物だろうが、ただの置物、捨てられているゴミだって同じ

その守護が何らかの反動で、元いた物体から離れ、生まれる前の赤子に宿る

それを宿して生まれてきた子を『守護持ち』と呼ぶのだ

守護持ちたちは自分に宿る守護の力を借りて、その守護が元いた物体の力を自分の力とし、発動することができる

姿もその守護の力を借りている時だけは変わり、中には人格や口調まで変わる者もいるらしい


プリメアもその『守護持ち』なのだが・・・

実は彼女は、自分に宿っている守護が何なのか把握できていない

宿っている守護が分からないと、力を発動することもできない

毎日、自分に宿る守護を確かめるため修行を重ねているのだが、どうしても分からないのだ

いつしか、この森の切り株の上で落ち込むのが毎日の日課になっていた

彼女のため息とは正反対に、頭上では小鳥のさえずりが絶えず流れている

そんな美しいメロディーが余計に彼女を落ち込ませるのだった

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